歯科衛生士2020年11月号
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Illustration:サタケシュンスケ[第11回] 金属アレルギー金属アレルギーの治療前に知っておきたいことを説明しましょう近年、「金属アレルギーかもしれない」「私、金属アレルギーなんです」と来院される患者さんが増えてきています。しかし、金属アレルギー治療のガイドライン、治療方法などは確立されていません。そこで今回は、金属アレルギーとはいったいどのような疾患なのか? また、どのように診断し、治療はどのように進むのかを患者さんに説明できるようになりましょう。金属アレルギーの症状とされる皮膚症状にはさまざまな原因がある 金属アレルギーは2種類にわけられます。一つは「局所性の金属アレルギー」であり、症状としてはネックレスやピアスなどが直接触れる部分が局所的に赤くなるものです。もう一つは、「全身性の金属アレルギー」で、原因とは離れた場所にアレルギーが起こるとされ、主に手や足に症状が出現することが多いです。歯科が大きくかかわる歯科金属アレルギーはこちらに分類されます。 金属アレルギーに含まれる歯科金属アレルギーとは、口腔内に存在する金銀パラジウム合金などが原因で、口腔内や皮膚に炎症が起きる疾患のことです。50歳代女性に多いとされています。口腔内の金属を除去していくと皮膚の症状などが治ることもあります(図1)。図1 金属修復物を除去し皮膚症状が改善した例(42歳・女性)患者と相談後、76をセラミック修復物に置換した。その結果、皮膚症状の改善を認めた。手湿疹が酷く、10年間皮膚科に通うも一進一退。「金属の詰め物が原因かも」とご自身で疑われ来院された。76に金属修復物を確認。皮膚科でのパッチテスト診断後、金・パラジウムに陽性反応を認めた。76の金属修復物には金・パラジウムの含有が認められた。講演者論文講演者論文押村憲昭Noriaki Oshimuraかすもり・おしむら歯科[愛知県]院長・歯科医師谷 名保美Naomi Taniかすもり・おしむら歯科[愛知県]歯科衛生士70歯科衛生士 November 2020 vol.44

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