歯科衛生士2020年11月号
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保険診療が可能だが、置換に選べる素材に限りがあるパッチテストで金属アレルギーの有無がわかるP.73陽性金属の除去前に歯周治療が必要P.74歯科金属にくらべ体に安全で長く機能する素材があるP.76歯周病と関連する皮膚症状があるP.77皮膚科と連携し、金属アレルギーの原因を把握する説明のPOINTP.72P.75金属アレルギー患者さんの特徴をで確認します。患者説明用シート そのため、患者さんに「金属アレルギーかもしれない」と言われたら、歯科医療従事者としては「口腔内の金属が原因なのではないか?」と真っ先に口腔内を疑いたくなるでしょう。筆者も以前はそうでした。しかし、じつは皮膚に症状が出る原因は山のように存在し、歯科金属はそのごく一部にしか過ぎないのです(表1)。 つまり、皮膚に症状が現れているからといって、けっしてすべてが歯科金属アレルギーだと視野を狭めるのではなく、治療にあたっては皮膚科医と連携して多角的にいろんな原因を排除しながら口腔内の金属性の補綴装置も疑っていく必要があります。歯科金属を除去しても5割程度の患者さんしか治らないという報告2)もありますので、慎重な対応が求められます。表1 接触皮膚炎が疑われる原因全身に皮膚炎が出る原因は多種多様で、歯科金属は単なる一部分にしかすぎない。(文献1より引用)日用品接触皮膚炎・刺激性皮膚炎ヘアダイ、シャンプー、リンス、洗剤、衣類(ホルムアルデヒド)、メガネ(染料)、ゴム手袋医薬品アレルギー性接触皮膚炎抗菌薬、抗真菌薬、非ステロイド系消炎薬、ステロイド外用薬、点眼薬、消毒薬、潰瘍治療薬、保湿剤光接触皮膚炎非ステロイド系消炎薬(ケトプロフェン、スプロフェン、ピロキシカム)全身性接触皮膚炎坐薬、腟剤抗菌薬:フラジオマイシン、ゲンタマイシン抗真菌薬:イミダゾール系消炎鎮痛薬:ブフェキサマク、イブプロフェンピコノール局所麻酔薬:ジブカイン、リドカイン鎮痒薬:ジフェンヒドラミン、Ⅰ-メントール点眼薬:緑内障薬、抗菌薬、抗アレルギー薬消毒薬:ポビドンヨード、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン保湿剤:アズレン金属アレルギー性接触皮膚炎アクセサリー、コイン、時計、革製品、ステンレス、塗料全身性接触皮膚炎歯科金属、食物ニッケル:バックル、腕時計、アクセサリー、コインコバルト:メッキ、青色系染着料、セメントクロム革製品、塗料、印刷(青)化粧品アレルギー性接触皮膚炎、刺激性皮膚炎下地クリーム、乳液、ファンデーション、化粧水、パック剤、サンスクリーン剤、アイシャドー、マスカラ、口紅、リップクリーム、頬紅、ジェルネイル色素沈着:香料、色素光接触皮膚炎:紫外線吸収剤香料、パラベン、ホルムアルデヒド、ホルマリン、ラノリン職業性美容師、パン屋、菓子職人、機械工・自動車修理工などに頻発刺激性皮膚炎(化学熱傷を含む)農薬、酸、アルカリ、フッ化水素、セメント、灯油、過酸化水素アレルギー性接触皮膚炎金属、レジン、ゴム、切削油、合成洗剤、消毒薬植物・食物刺激性接触皮膚炎イラクサ、にんにく、パイナップル、キウイフルーツ、アロエアレルギー性接触皮膚炎ギンナン、セリ科、アブラナ科、キク科、ウルシ科、柑橘類、健康食品(プロポリス、キチン・キトサン)、サクラソウ光接触皮膚炎セリ科、柑橘類71歯科衛生士 November 2020 vol.44

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