歯科衛生士2020年12月号
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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、歯科医院の感染対策について、歯科医療者だけでなく、一般の人びとからもより厳しい目を向けられるようになりました。とくに、COVID-19の感染経路として一般にも知られるようになったエアロゾル感染については、歯科治療の特性上、歯科医院では曝露の機会が多くなります。実際、左に示したイメージのように、患者さんの口腔内から飛散したエアロゾルを術者はつねに真正面から浴びることになります。そのため、「COVID-19の感染リスクが高い職業」として、歯科衛生士や歯科助手といったコデンタルスタッフの感染リスクの高さを指摘する報道もなされました1)。 一方、コデンタルスタッフが隣り合わせているリスクは感染症だけではないことを皆さんは認識していらっしゃるでしょうか。院内感染を防ぐための毒性の強い消毒薬の使用はコデンタルスタッフの健康を脅かすものの1つとして著者は挙げています。 何のために歯科医院で感染対策を行うかを考えたとき、来院する患者さんを守るためであることはもちろんですが、それ以前に、診療室で臨床業務に臨むスタッフ、防疫室で汚染器材の処理を行うスタッフの健康・安全が守られるものであることがきわめて重要です。 そこで今回は、歯科医院における院内感染とその対策について、現状への問題提起を行ってきた著者に、その理由と正しい方法について解説していただきます。(編集部)はじめに―自分を守ることが、患者さんを守ることにもつながる― 守る感染対策25歯科衛生士 December 2020 vol.44

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