歯科衛生士2020年12月号
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PMTCだけでは歯周病、う蝕は予防できないPMTCで行う研磨は安全に配慮されているP.73PMTCで落とせる着色の種類・原因P.74PMTCは定期的に行う必要があるP.77PMTCはバイオフィルムを一掃することができる説明のPOINTP.72P.76う蝕や歯周病になりやすいリスクの特徴をで確認します。患者説明用シート PMTCは予防歯科において、日常的に私たち歯科衛生士が行っている診療業務です。その際、皆さんは何をされているでしょうか? ロータリーインスツルメントにシリコンカップをつけて、何らかの研磨ペーストを用いて歯面研磨をするだけでしょうか? 予防メインテナンスの第一人者であるアクセルソンは、PMTCを「歯科医療従事者によって行われる歯科医療サービスで、全歯面からプラークを選択的に除去すること」と定義しています1)。また、「歯肉縁下1~3mmまでに存在するプラークを機械的に操作するためにインスツルメントとフッ化物含有プロフィーペーストを用いて除去するPMTCを、いわゆるプロフィラキシスやポリッシングと混同してはいけない。それらは回転ラバーカップとプロフィーペーストを使い、頬側面、舌側面、咬合面のいわば“ノンリスク面”で、セルフケアによってほとんど1日2回磨けている場所を含めている。そのような予防処置やポリッシングに“妥当性はない”」としています。 すなわち、PMTCは“プロが行うセルフケア”ではなく、患者さんがセルフケア、歯科衛生士がプロフェッショナルケアというふうに役割分担し、リスク面に歯科衛生士がアプローチをすることです。つまり、PMTCとセルフケアを組み合わせることで二人三脚でプラークが付着しにくい口腔内を維持することができるのです(図1)。それでは、それをどのように患者さんに伝えていけばよいのでしょうか。次ページから紹介していきます。患者さんと二人三脚で健康な口腔内状態をキープしていく図1 リスク部位を把握したPMTCを行っているメインテナンス歴4年の症例 2015年5月2019年1月他院でメインテナンスを受けていたが、数年に一度う蝕を繰り返していた。歯周基本治療、再評価からメインテナンスへ移行して以来、3、4ヵ月に一度来院されている。過去の治療経験が少なくなく、上顎前歯部にはアマルガム充填、臼歯部はクラウンがあり、唾液の流れも悪い部位であるため二次う蝕リスクが高いといえる。PMTCでは縁上はブラシで磨き、縁下へのアプローチはスケーラーでのデブライドメントとラバーカップでの仕上げを行っている。頬小帯の高位付着もあり、歯ブラシは細かく動かすように指導している。このようにセルフケアをサポート、プロケアでフォローすることで、健康状態を維持できている。71歯科衛生士 December 2020 vol.44

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