歯科衛生士2020年12月号
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CASE6本欄では、臨床に取り組まれている歯科衛生士の方にご登場いただき、日頃から後進の育成にあたっているアドバイザー委員のアドバイスを受けながら症例報告をまとめていただきます。臨床を振り返り、さらなるステップアップにつなげていただく場、また症例をシェアすることでともに学び合える場としていただけることを期待しています。[アドバイザー委員(50音順、敬称略)]奥山洋実/小林明子/塩浦有紀/田村 恵/山口幸子誌上ケースプレゼンテーションCASE PRESENTER●26歳●2017年アポロ歯科衛生士専門学校卒業●臨床経験年数:4年●所属学会:日本ヘルスケア歯科学会(2018年認定歯科衛生士資格取得)●勤務先:子どもから高齢者まで、幅広い年代が来院する。患者担当制で予防歯科に力を入れており、患者に寄り添いながら、一人ひとりの患者に合わせた診療を心がけている。はじめに 本症例は、筆者が歯科衛生士1年目のときに、初回口腔内写真撮影と歯周病検査から担当した患者さんです。当院では筆者が入職した当初から外部講師をお呼びして、定期的に院内勉強会を行っていましたし、セミナーにも行かせてもらってはいましたが、毎日直接指導してくれる先輩歯科衛生士はいませんでした。そのため、まだまだわからないこと、できないことばかりで、学んだことを患者さんにどのように伝えていけばいいのか、日々の臨床では戸惑うことが多々ありました。そんななかで、「とにかく今できることをやるしかない」と新人ながら取り組んだ過程について報告します。初診時の所見 患者さんは、初診時45歳女性で「歯磨きをすると出血する」という主訴で来院されました(表1)。全身的既往歴に特記事項はなく、喫煙歴もありません。今まで、う蝕治療では歯科を受診したことがありましたが、歯周病という指摘を受けたことも、検査を受けたこともなかったようで、「歯周病という名前は聞いたことがあるけど、それがどのような病気なのかはほとんどわかりません」と言われました。無理のない口腔衛生指導による信頼関係の構築1年目に担当し試行錯誤で対応した症例[キーワード] 口腔衛生指導、信頼関係、1年目表1 患者さんの基本情報北原結奈Yuina Kitahara医療法人社団博山会デンタルクリニック沼澤[東京都]歯科衛生士年齢、性別45歳(2016年10月初診時)、女性主訴歯磨きをすると出血する初診時所見●下顎前歯部に歯石が付着している。全顎的に歯肉腫脹がみられ、とくに76が著しい。●咬合関係は一級で、開咬あり。側方運動・前方運動時のガイドは臼歯部で、顎関節症状はない。開口量には問題ない歯科的既往歴う蝕治療を受けたことがあるが、歯周治療やメインテナンスの経験はない。最後に受診したのは出産前の妊婦健診のときで、今回は5年ぶりの受診全身的既往歴特記事項なし喫煙歴なし81歯科衛生士 December 2020 vol.44

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