歯科衛生士2021年1月号
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Illustration:青山京子治療をきっかけに来院した患者さんをメンテにつなげるため、通院中の患者さんのモチベーション維持のために、エビデンスを基に「メンテに通うメリット」について伝えられるようになりましょう。関野 愉Satoshi SEKINO日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座准教授・歯科医師連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.phpプロにしかできない歯肉縁下ケアがある*日本ではメインテナンスとSPTを区別しているが、国際的にはその区別はなく、本連載で引用する論文も国際基準のものなので区別しないこととする。 歯周治療のコンセプトは、歯肉縁上および縁下のプラークを機械的に除去することであり、細菌学的な考え方が変遷していくなかであっても、治療方針は変わっていません。そして、治療により一度状態が良くなったとしてもメインテナンス(SPT*=サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)を継続して口腔衛生を高水準に維持することで再発を防ぐ必要があります。 さて、そのメインテナンスですが、基本的には、医療面接(前回から変わったことがなかったかなどをチェック)、検査(特にリスクがあった部位など気になるところをチェック)、モチベーション、OHI、インスツルメンテーション(歯肉縁上歯石やポケット残存部のデブライドメントなど)、ポリッシング、フッ化物塗布といった流れで行第1回われます。筆者はいろいろなところで「メインテナンスの主目的は、患者のモチベーションを維持することだ」と明言しています。もちろんそれはもっとも重要な要素です。ただし、いくらモチベーションが高い患者であっても技術的な限界はあり、プラークスコアが0%になることはほとんどありません。 また、歯ブラシの毛先が歯肉縁下に入ったとしてもせいぜい2~3mmが限度で(Waerhaug 19811)、Youngbloodら 19852))、深いポケットが存在していれば、それに面した歯面は完全にはきれいにできないわけです。それでも磨いていればなんとかなりそうな気もします。それでは、このトピックに関してどのようなエビデンスがあり、どのように考えていけばよいのかみていきましょう。歯ブラシが届かない歯肉縁下へアプローチする有効性は?65歯科衛生士 January 2021 vol.45

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