歯科衛生士2021年2月号
1/9

Illustration:青山京子治療をきっかけに来院した患者さんをメンテにつなげるため、通院中の患者さんのモチベーション維持のために、エビデンスを基に「メンテに通うメリット」について伝えられるようになりましょう。関野 愉Satoshi SEKINO日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座准教授・歯科医師連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.php 歯周炎は慢性炎症をともなう進行性の疾患で、重度になると歯の機能不全などの問題が生じ、最終的には歯の喪失が起こります。また、口腔内の常在菌が関与するため、一度治癒し、SPTに移行した後も再発や進行が起こる可能性があります。このような場合、疾患の進行や安定化を予測できる精度の高い指標が必要となります。 たとえば、前述のように歯周病は細菌が関与するため、細菌の検査を行えばよさそうな気がします。また、歯肉溝滲出液や唾液や血液から何らかのバイオマーカーを測定すれば有効だという考えももっともらしく思えます。しかし、実際にわれわれが日常的に使っている指標は「プロービングポケットデプス(PPD)」や「プロービング時の出血(BOP)」のようなプロービングから得られた検査結果です。第2回 プロービングは、歯科においてすでに100年以上行われており、歯周ポケットにプローブを挿入するという、ある意味とても原始的な検査方法です。最新の科学を駆使したバイオマーカーや最新鋭の画像診断などが医科の分野で導入されていることを考えると、歯周病の検査でいまだにプロービングをしているのは、何か遅れているような印象を持ちます。 また、患者さんにとってもチクチクと痛みをともなう検査なので、できれば避けたいと考えるかもしれません。さらに、全顎プロービングにはそれなりの時間もかかります。はたしてプロービングから得られたデータにどのような意義があり、どのようなエビデンスがあるのでしょうか。文献を紐解いていきたいと思います。プロービング検査は、原始的すぎる?プロービング検査は予後の大事な指標となる 75歯科衛生士 February 2021 vol.45

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る