歯科衛生士2021年2月号
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不安と負担を軽くする 妊娠期の歯科診療ガイド健康観も高まるが、リスクも高まる!23 妊婦に対する歯科診療は、妊婦本人のみならず生まれてくる子どもの口腔や全身の健康を育むことにつながります。特に、小児のう蝕予防の観点からは、妊娠期の“マイナス1歳”から母親の口腔内環境を良好に保つことが、う蝕細菌の母子伝播予防にもなり、理想的な予防のスタートとなります6)。妊娠中にう蝕予防や口腔機能に関する適切な情報提供を行い、セルフケアの技術を習得、実践してもらうことが、子どもたちのむし歯ゼロを育み、口腔機能の発達や不正咬合の予防にもつながるのです。 また、う蝕や歯周病は生活習慣病でもあり、生活・食習慣の改善なしには、生涯にわたり口腔の健康を維持することはできません。健康に対するモチベーションが高まる妊娠期こそ生活習慣を変えることができるビッグチャンスといえます。これは妊婦のみならず、そのパートナーや周囲の家族全員に対しても当てはまることです。家族の妊娠をきっかけに禁煙に成功するケースもあります。私たちが積極的に妊婦とかかわることが、子どもやその家族の未来を良い方向に導くことの手助けになるのです。 理由 ~ココが予防の本当のはじまり~生まれてくる赤ちゃん・家族のために妊婦の口腔や全身の健康は胎児に影響するから さらに、歯周病は不妊症とも関連することが報告5)されており、妊娠を望むカップルに対して積極的にOHIを行うことが、歯科から妊娠成立(少子化対策)へ寄与できる可能性があることにも注目が集まっています。43歯科衛生士 February 2021 vol.45

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