歯科衛生士2021年3月号
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ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAしおみ歯科クリニック[大阪府]副院長・歯科医師 日本歯周病学会認定医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美CQ9 動的な歯周治療終了後に歯周組織の健康を維持するには、その後の定期検診(メインテナンス)が不可欠です。メインテナンスの有用性はこれまでに多くの臨床研究によって立証されており、皆さんも実際の臨床でその有用性を感じることが多々あると思います。 1990年代から、「メインテナンス」という表現では術者側が患者さんを一方的にコントロールするというイメージが生じやすいことを理由に、欧米では“Supportive Periodontal  今回の患者さんは、歯周治療後の60代男性です(図1)。全顎的な動的歯周治療を終え、歯周組織の安定が認められたため、SPTへ移行予定です。 上記の患者さんに日々のセルフケアに加えて、歯科医院でTherapy(SPT)”という用語が使われるようになりました。このSPTという用語にもあるように、術後の口腔内の健康管理を行うには、患者さん自身が主体になり、歯科医師や歯科衛生士はその手助け(support)をするというスタンスに立つことが大切です。患者さんにメインテナンス/SPTに主体性を持って通ってもらうために、その効果に関するエビデンスをDHが熟知し、患者さんに伝え続けていくことが重要です。の定期的なプロフェッショナルケアを受けてもらうためには、DHがエビデンスに基づいたメインテナンス/SPTの具体的効果を示し、患者さん自身にその必要性を理解してもらうことが大切です。文献検索で情報を得ましょう。連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.phpDHが知っておきたいメインテナンス/SPTのエビデンスメインテナンス/SPTはどれくらい効果的なの?この患者さんはようやく歯周治療が終わって、これからはSPTに移行できそうだなぁ。メインテナンス/SPTがもたらす効果を患者さんにしっかり伝えて、今後も定期的に通院してもらいたいけど、どのように伝えればいいんだろう?CQ「メインテナンス/SPTの効果は?」64歯科衛生士 March 2021 vol.45

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