歯科衛生士2021年4月号
4/9

ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAしおみ歯科クリニック[大阪府]副院長・歯科医師 日本歯周病学会認定医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美CQ10 日本では超高齢社会を迎え、中~高年者の保有歯数の増加にともなって、歯根面に発生するう蝕(根面う蝕)が急増しており、日常的にその治療を行う頻度が高くなっています。高齢者や歯周病患者では歯肉退縮が起こり、根面が露出している場合が多く、根面はエナメル質に覆われていない分、う 今回の患者さんは、60代男性です(図1)。歯肉は退縮し、根面の歯質に変色を認めました。 う蝕で実質欠損が大きくなっている場合は、通常、感染歯質を除去した後に修復処置が適用されます。しかし、歯根面は、歯冠部エナメル質と比較して無機質含有量が少なく、う蝕の初期段階では、この患者さんのように表面の脱灰軟化が生じていても大きな欠損にはなっていない場合も多いです。蝕の進行が早いと考えられています。DHが診療中に根面う蝕を疑われる病態を見つけることは多いと思いますが、その後経過観察となり、根面う蝕の管理を任された場合、どのようにアプローチをすればいいのでしょうか?それにより、病変の辺縁が不明瞭で、修復処置に際してどこまで切削すればよいかの判定も難しいとされています。そのため、感染歯質の切削を行わずに、再石灰化によってその進行を抑制し、う蝕を管理することが治療法の一つとして提唱されています。そのような場合に、う蝕の管理を担うのはDHです。このような根面う蝕に対してDHとして適切なアプローチを行うために、文献検索を行っていきましょう。連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.phpDHが知っておきたい根面う蝕のエビデンス根面う蝕に対してどのようにアプローチすればいいの?前歯部や臼歯部に根面う蝕がみられるなぁ……。ひとまずメインテナンスで経過観察していくことになった根面う蝕を進行させないよう管理していく場合に、DH としてどのようなアプローチをすればいいんだろう?CQ「根面う蝕の管理では何をすればよいのか?」68歯科衛生士 April 2021 vol.45

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る