歯科衛生士2021年5月号
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ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAなりた歯科・矯正歯科[兵庫県]院長・歯科医師 日本歯周病学会認定医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美CQ11 シーラントは、う蝕の好発部位である臼歯咬合面や上顎前歯口蓋側面の小窩裂溝をシーラント材で封鎖し、口腔内環境から遮断することによってう蝕の発生を予防するものです。シーラント材は大きく分けてレジン系シーラント材とグラスアイオノマーセメント系シーラント材の2種類がありますが、近年はフッ素徐放能を有するレジン系シーラント材が開発され、臨床でよく用いられています1)。 シーラントがう蝕の初発を抑制することは、1970年代か 今回の患者さんは、矯正治療中の8歳男児です(図1)。6は幼若永久歯で、小窩裂溝に探針を挿入すると引き抜く際に抵抗感があることから初期う蝕が疑われます。ら多くの研究で立証されています2)。また、エナメル質初期う蝕に対しても、レジン系シーラント材を適用し、う蝕の進行を抑制・停止または再石灰化させてこれを改善しようとする臨床研究も多く報告されています3)。 読者の皆さんも臨床で幼若永久歯にシーラントを行い、う蝕の予防を行うことは多いと思いますが、実際にシーラントを行うことでどれくらいの効果が得られるのでしょうか? このような幼若永久歯の小窩裂溝にシーラントを行うことで、どのような効果が期待できるのか、文献検索で調べてみましょう。連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.phpDHが知っておきたい小児患者に対するシーラントのエビデンスシーラントにはどれくらいの効果があるの?CQ「シーラントの効果は?」この子は6が萌出してきたなぁ。シーラントをしてう蝕の予防をしておかなきゃ。そういえば、シーラントをすることでどれくらいう蝕の発生や進行を抑えることができるんだろう?62歯科衛生士 May 2021 vol.45

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