歯科衛生士2021年5月号
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Illustration:青山京子治療をきっかけに来院した患者さんをメンテにつなげるため、通院中の患者さんのモチベーション維持のために、エビデンスを基に「メンテに通うメリット」について伝えられるようになりましょう。関野 愉Satoshi SEKINO日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座准教授・歯科医師 歯周病の主な原因は細菌性プラークとされ、治療のメインはプラークコントロールです。それが高水準で達成されれば、治療の成功に大きく近づくことでしょう。また、動的治療が終了した後のメインテナンス・SPTにおいても、プラークコントロールを良好に保つことはとても重要です。しかし、患者さんからすると疑問に思うことがあるかもしれません。 たとえば、自分はセルフケアへの意識が高く、一生懸命歯を磨いているにもかかわらず歯周病が進行している一方、同年代でそこまでブラッシング意識が高くないのに、まったく歯周病に罹患していない人がいたりするのです。これを説明するのは「宿主の感受性」です。つまり、同じように歯面にプラークが付着したとしても、生まれながらに歯周病になりやすい人となりにくい人がいるということです。生まれつきの要因は、コントロールすることは不可能と思第5回われます。しかし、後天的に歯周病を起こしたり発症・悪化させやすくしたりする要因もいくつかあり、これはコントロールできます。 このような、歯周病に影響する要因で「縦断研究により関連が確認されたもの」を「リスクファクター」と呼び、その代表的なものに「喫煙」と「糖尿病」があります。他にも要因はいくつかありますが、本当の意味でリスクファクターと呼べるのは、この2つです(もしかしたら「ストレス」も含まれるかもしれません)。糖尿病については内科医の指示を仰いでコントロールしていく必要がありますが、喫煙に関しての対応は「禁煙」です。現在、禁煙のための内服薬もありますが、やはりチェアサイドにおける「禁煙支援」が基本的な対応法であると考えられます。今回は、メインテナンスにおける「喫煙」の影響および「禁煙」の効果をいつものとおりエビデンスに基づいて検証していきたいと思います。歯周病を悪化させる要因“リスクファクター”にアプローチはできる?禁煙効果が最大になるには期間を要し、その間のメインテナンスは特に重要となる連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.php77歯科衛生士 May 2021 vol.45

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