歯科衛生士2021年5月号
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症例をシェアして、ステップアップ!Case41はじめに―治療後のメインテナンスのかかわりが重要― 筆者は歯科衛生士として約20年歯科治療に携わり、さまざまな患者さんを担当してきました。そのなかには、来院が途絶え治療が中断してしまったケースや、治療は終了したもののメインテナンスが継続せずに再治療が必要になったケースなどもありました。歯科治療は、患者さんと歯科医療者がともに一つのゴールを目指していなければ完了しませんし、治療が終わった後も、口腔内に対する関心やモチベーションを患者さんが保っていなければ、口腔内の状態を良好に維持することはできません。 今回は、現在もメインテナンスを続けている症例のうち、歯周基本治療から矯正、インプラントも絡めた全顎的な治療を行った症例に対し歯科衛生士としてどのようにかかわったのか、特に最終的な治療計画の立案に積極的に参加した点を中心にご報告します。県外出身で、急遽来院された患者さん 患者さんは初診時63歳、歯の疼痛と動揺を主訴に来院されました(表1)。県外のご出身で、普段は地元で通われている他院でメインテナンスを継続されていたそうで、違和感を訴えたところ、投薬での対処療法を受けているとのことでした。しかし、息子さんの育児の手伝いで年単位で東京に滞在することが決まっていたので、意を決して当院に来院され全顎治療の治療計画立案に参加し、初診からかかわり続けている一症例[キーワード] 全顎治療、治療計画立案●39歳●2002年新東京歯科衛生士学校卒業●歯科衛生士歴:19年目●勤務形態:常勤●勤務先:1口腔単位での診断・治療を提案し、歯周基本治療からインプラント治療、メインテナンスまでチームで治療を行っている。塚田智子さんTomoko Tsukadaあおいデンタルクリニック麻布十番ペリオ・インプラントセンター[東京都]歯科衛生士SBC (Surgical Basic Course)今回症例を紹介してくれるのは……表1 患者さんの基本情報年齢、性別63歳(2015年7月初診時)、女性主訴歯が痛い、グラグラ動く歯科的既往歴地元で通院している他院にてメインテナンス中。抗生物質と痛み止めを処方され、服用している全身的既往歴特記事項なし喫煙歴なし85歯科衛生士 May 2021 vol.45

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