歯科衛生士2021年6月号
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Illustration:大野文彰植村美穂Miho UEMURAアキモトプライベートデンタルオフィス[神奈川県]歯科衛生士秋本昌弘Masahiro AKIMOTOアキモトプライベートデンタルオフィス[神奈川県]院長・歯科医師北薗里佐Risa KITAZONOD.D LABO[東京都]歯科技工士 患者さんの口腔内の環境は、一人ひとり異なります。すべて天然歯の方がいれば、補綴装置と天然歯が混在している方、インプラントを埋入されている方、義歯を装着されている方などさまざまです。なかには、他院から転院してきた患者さんもいるなかで補綴装置の材料や施術方法が統一されていないなど、メインテナンスを行ううえで判断に迷うケース、難しいケースも増えてきています。 そのようななか、すべての患者さんにおいて同じセルフケア、プロフェッショナルケアで良いのでしょうか? 補綴装置の材料や部位、どのくらい前に修復したものなのか、汚れがつきやすいかなどを理解したうえでケアしなければ、歯科衛生士が行うスケーリングやPMTCで補綴装置に傷をつけてしまうケースもあります(図1)。傷がつけば、そこにプラークや細菌が溜まり、やがて歯肉炎が起き、歯周炎へと進行してしまうかもしれません。 そして、機能性とともに審美性も大切です。歯科衛生士は口腔内の健康はもちろんですが、修復した補綴装置をできるだけ長く維持し、補綴治療後の口腔内を良好な状態で保ち続けることも求められています。本稿では、審美修復、補綴治療をした歯に対してどのようにメインテナンスを行うか考えていきたいと思います。口腔内の補綴装置によって、メインテナンスは変わる!他院にて半年に一度のメインテナンスに通院していた患者のメタルクラウン(5年以上前に装着)の表面には、線のような傷が無数に見られる。ケア用品の選択、ケア方法に問題がある場合もあるが、このような傷の場合、多くは歯科衛生士が不必要にスケーラーを当てたり、過度なPMTCをした結果だと予測できる。図1 無数の傷がついたメタルクラウン★★★                     ★★★天然歯と同じにしてない?2特集治療が長持ちする補綴装置のメインテナンス51歯科衛生士 June 2021 vol.45

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