歯科衛生士2021年6月号
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Illustration:青山京子治療をきっかけに来院した患者さんをメンテにつなげるため、通院中の患者さんのモチベーション維持のために、エビデンスを基に「メンテに通うメリット」について伝えられるようになりましょう。関野 愉Satoshi SEKINO日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座准教授・歯科医師 歯周炎が進行した患者さんであっても、その治療はもちろんプラークコントロールが主体です。場合によっては、歯周外科治療が行われ、何本かの歯は治療計画に基づき抜歯され、その後大がかりな補綴処置が行われることもあります。それらがうまくいけば、不快症状は寛解し、機能的にも審美的にも問題なくなります。あとは、メインテナンスで疾患の再発を予防し、良好な状態を維持していくことが必要となります。そのため、状態が良くなったとしても、数ヵ月に一度は受診を続けることになるわけです。 しかし、患者さん側からすると「良くなったのにいつまで通院すればいいのだろう」という疑問が出てきます。ブラッシングもていねいに日々取り組み、染め出しをしても磨き残しはほんの少し。筆者自身も患者さんに説明したつもりであっても「あと何回かかりますか?」などと聞かれた経験があります。また、診療終了後に「それでは先生、お世話にな最終回りました」と唐突に自分で通院を終了しようとする患者さんもいました。もしかしたら患者さんの周りに、治療が終わった後何年も歯科に通っていることを疑問視する知人がいて、「そんなに長く通院させられるのはおかしいよ」などと言われているのかもしれません。トラブルや痛みもないのに長い間通院するような経験がこれまでない人にとっては、無理もないことです。 本連載ではメインテナンスに関するトピックを扱ってきました。メインテナンスにおける歯肉縁下の処置、プロービング、根面う蝕、リスクファクター、インプラントについてそれぞれの重要性や臨床的意義、対処法について論じてきました。いわば各論的な話を最初にしてきたわけですが、最終回である今回は「そもそもなぜ治療が完了した後も通院を続けるのか」、その答えを見つけるべく、ある意味メインテナンスの総論的なトピックを扱っていきたいと思います。治療が終わったら、もう通院しなくてもよい?定期的なメインテナンスが疾患を予防し、歯の喪失リスクを下げる連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.php87歯科衛生士 June 2021 vol.45

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