歯科衛生士2021年6月号
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ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAなりた歯科・矯正歯科[兵庫県]院長・歯科医師 日本歯周病学会認定医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美CQ12 エアーアブレージョンとは、専用機器のノズルから水、エアー、歯科用パウダーを歯の表面に勢いよく噴射することにより、歯肉縁上・縁下のバイオフィルムや歯面の着色などを機械的に飛ばす歯面清掃の方法です。1980年代に炭酸水素ナトリウム粉末を吹き付けるものが初めて臨床応用されましたが、近年では、使用するパウダーの成分は主に炭酸水素ナトリウム(重曹)、グリシン(アミノ酸の一種)、エリスリトール(糖アルコールの一種)の3種類で、清掃対象や目的によって使い分けられます。従来の回転器具と研磨ペーストを用い 今回の患者さんは60代男性です(図1)。現在SPTで来院していますが、PMTC時にラバーカップや超音波スケーラーた歯面研磨と比べると、歯面に直接器具が触れないため、低侵襲で、回転器具では届かなかった部位や矯正器具・補綴装置の隙間などにも到達できることから、注目されている清掃方法です。 歯周病学用語集1)においては「エアーアブレージョン」に統一されていますが、使用する専用機器や文献によって「エアフロー※」「エアーポリッシング」「ジェットポリッシング」などと、さまざまな名称で呼ばれています。本稿では原則「エアーアブレージョン」で統一しています。を使用すると、「振動が不快に感じる」と言われます。 エアーアブレージョンはこのような不快感が少ないと言わ連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.phpDHが知っておきたいSPTにおけるエアーアブレージョンのエビデンスエアーアブレージョンによるプロフェッショナルケアの効果は?SPTで通院中のこの患者さんは、PMTC中のラバーカップや超音波スケーラーの振動が苦手とよく言っているなぁ……。患者さんの不快感が少ないと言われているエアーアブレージョンを勧めてみようかな?エアーアブレージョンによるプロフェッショナルケアには、従来の方法と比べてどんな効果があるんだろう?CQ「エアーアブレージョンの効果は?」※「エアフロー(AIR FLOW®)」はEMS Japan㈱の登録名称である。70歯科衛生士 June 2021 vol.45

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