歯科衛生士 2021年10月号
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77能低下症の方はきっとたくさんいるはずです。その症状を見逃さずに原因を突き止め、対応することができれば、要介護や機能低下の予防につながります。 しかし、まだまだ施設に対応できる専門職がいなかったり、歯科衛生士がかかわっていても口腔衛生のみにとどまってしまっているのが現状です。実際に、「口腔機能向上加算」を算定している通所サービス事業所は全体の オーラルフレイルは、わずかなムセや食べこぼし、滑舌の低下といった口腔機能が低下した状態を示すものであり、国民の啓発に用いる用語(キャッチフレーズ)です。一方、口腔機能低下症は、検査結果に基づく疾患名です。 したがって、オーラルフレイルと口腔機能低下症はオーバーラップする部分が多く、区別されるものではありません。「オーラルフレイル」という言葉を使って国民へ口腔機能に関心を持つことの重要性を啓発していくことが重要となります。その結果、国民がオーラルフレイルであると感じたら、歯科医院を訪れて口腔機能低下症の検査を受ける、ということが一般的になることが望まれます。わずか1割程度との報告3)もあります。口腔機能向上にかかわる専門職には、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士がありますが、そのなかで歯科衛生士は、口腔衛生はもちろん、口腔内のトラブル(義歯の不具合やう蝕、歯周病など)もわかる唯一の職種です。さらに口腔機能へアプローチができれば、歯科衛生士は口腔機能向上加算にももっとも活躍できる最適な職種ではないでしょうか。Illustration:キムラみのる、飛田 敏歯科衛生士 October 2021 vol.45渡辺三恵子Mieko WATANABE特別養護老人ホーム芦花ホーム[東京都]歯科衛生士口腔機能低下症とオーラルフレイル1)疾患名とキャッチフレーズ

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