歯科衛生士 2022年5月号_2
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細菌要因●細菌種●細菌量食物要因●発酵性糖質の種類●発酵性糖質の量時間要因●飲食の時間と頻度●ブラッシング時期唾液要因●殺菌作用●再石灰化作用●緩衝作用●浄化作用清掃要因●ブラッシング技術●ブラッシング時間●清掃補助用具フッ化物応用●セルフケア:低濃度フッ化物 フッ化物含有歯磨剤 フッ化物洗口●プロケア:高濃度フッ化物 フッ化物歯面塗布社会経済的要因●社会階層●教育●収入●習慣●知識●態度カリオスタットやRDテストで対象としているのは、この中の細菌要因のみであるが、う蝕の発生・進行にはさまざまな因子が影響しているため、総合的な評価が必要である。68連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.php 「わたしゃ、むし歯は1本もないよ」とおっしゃる年配のご婦人。ていねいな歯磨きをしているようすはありません。どうしてでしょうか? う蝕を起こす原因が少ないのです。 う蝕は「ミュータンス菌と砂糖」だけが原因ではありません。発酵性糖質の摂取(不適切な食習慣)と酸産生菌の増加(ディスバイオーシス)、唾液のはたらき、口腔清掃のレベル、さらに社会環境など多くの因子がう蝕の原因です1)。これらの因子が少ない人はう蝕になりにくいし、多い人はなりやすいのです。ですから、患者さんごとのう蝕に関連する因子を解析して、う蝕の発生リスクを評価することができます。これがカリエスリスク評価(Caries Risk Assessment:CRA)です。久保庭雅恵Masae KUBONIWA大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座予防歯科学准教授・歯科医師天野敦雄Atsuo AMANO大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座予防歯科学教授・歯科医師Illustration:寺田久美(文献1より引用改変)令和のう蝕に関する皆さんの常識を、サイエンスベースで覆します! 令和のう蝕病因論(カリオロジー)は、ミュータンス連鎖球菌と砂糖だけじゃ語れないのです。第4回脱・昭和の常識!う蝕関連因子一人ひとりのう蝕に関する因子を解析して、発生リスクを評価するカリエスリスク評価(CRA)って何?カリエスリスク評価(CRA)~患者さんのう蝕のリスクはどう予測する?~う蝕の発生にはさまざまな因子がかかわるため、患者さん一人ひとりのリスクを予測するためにはそれらの因子をもとに総合的に評価する必要があります。今回はこのカリエスリスク評価(CRA)について、国内外で開発されたツールもふまえて解説します。

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