歯科衛生士 2022年5月号_2
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生活習慣の変化歯列咬合の変化歯の萌出、脱落、抜歯、補綴、矯正唾液の変化認知・身体能力の変化生活環境の変化社会経済的背景の変化69CRAを使うと、どんないいことがあるの?CRAは1回で十分?それとも何度もすべき?May 2022 vol.46 ひと昔前までは、プラークや唾液中の菌の酸産生能を調べる検査(カリオスタットやRDテスト)などがCRAとして実施されてきましたが、細菌要因のみを調べるだけではリスクを十分評価できないケースもありました。このことから、う蝕のリスク因子を総合的に評価するさまざまなCRAモデルが国内外で考案されました。このCRAモデルを使って、患者さん一人ひとりのう蝕発生リスクをピタリと言い当てられたら素敵ですよね。ただ、残念ながら、すべての患者さんにぴったりのCRAモデルはありません。しかし、CRAモデルの足りないところを皆さんの知識で補うことができます。さあ、CRAの知識をアップデートしましょう(CRAの各モデルについては次ページから紹介します)。 2000年を境に、う蝕管理の考え方に大きな変化(パラダイムシフト)が起こりました。う蝕の穴を削って詰める治療から、発症しないためのう蝕リスク管理(Caries Risk Management:CRM)へとそのトレンドが移っていきました2)。う蝕のリスク管理を成功させるには、患者さんごとのリスク因子にかかわる情報に基づく、テーラーメイドな対策をたてる必要があります2)。 CRAを使うと、患者さんごとに最適な予防プランを提供することが可能になります。すべてのう蝕に“削る、詰める”治療をしても、う蝕の発症原因をつきとめ、そのリスク因子に対する有効な対策をたてない限り、う蝕は何度でも再発するため、このようなアプローチはとても大切なのです。 CRAは患者さんの人生を通してのカリエスリスクを判定できるものではありません。近い将来のう蝕発生リスクを知るための、現時点でのリスク評価です。う蝕リスク因子には時間とともに変化するものがたくさんあります。時間の経過とともに変化する項目を把握するために、CRAは定期的に行う必要があります。時間の経過とともに変化する、う蝕のリスク因子令和のCRA:国内外でさまざまなCRAモデルが考案されている口腔衛生指導による知識や技能の向上全身疾患、服薬加齢、全身疾患就職、転職、結婚、出産、転居、家族内での要介護者の出現などのライフイベント自然災害など

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