歯科衛生士 2022年5月号_2
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5は自然脱落し、6と上顎前歯部には垂747直性骨吸収がみられる。臼歯部にはそれぞれⅠ度からⅢ度の根分岐部病変を認める。図1 初回精密検査時の口腔内写真全体的に歯肉退縮がみられ、歯間部にはプラークが目立つ。1の歯肉は歯周膿瘍から排膿していた。図2 初回精密検査時のデンタルエックス線写真コンプレックスを抱えた患者さん79May 2022 vol.46 患者さんは2014年に、「右下の奥歯がぐらついて噛むと痛み、顔まで腫れてしまった」という主訴で来院されました(表1)。15年以上歯科医院に通院しておらず、当時49歳という年齢からみても歯周病の進行が顕著でした。患者さんは歯科治療への恐怖心がとても強かったために、1年前に7、半年前に5が自然脱落しても放置されていました。一方で、年々悪化していく口腔内に対しコンプレックスを抱えており、私たちと会話する際、うつむきながらつねに手やハンカチで口元を隠す仕草が目立ちました。 まず、主訴である6の急性症状に対する消炎処置を行い、症状が緩和された翌月に歯周組織精密検査とリアルタイム1.セルフケアの重要性を説明 当院では、歯周基本治療と、必要に応じて歯周外科治療や口腔機能回復治療をPCR法による細菌検査を実施しました(図1、2、次ページ図3、4)。歯科医師により、広汎型慢性歯周炎ステージⅣグレードBと診断されました。OHIに入る前のアプローチ初回精密検査時 2014年

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