歯科衛生士 2022年6月号
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“いきなりプローブ”絶対NG! プロービングは、歯周治療に携わる歯科衛生士にとって習得すべき重要な手技であり、主に「正確性」「スピード」「痛みを与えない」という点が重要視されます。そのなかでも「正確性」は、プロービングポケットデプス(PPD)や出血(BOP)といったプロービングの結果次第で歯周病の診断や治療計画に影響します。アメリカ歯周病学会(AAP)・ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)から公表され、2021年に日本歯周病学会の分類に併記された歯周病の新分類においては、骨吸収とともにPPDが歯周病の診断に大きくかかわるようになりました1)。このことからもプロービングの正確性がますます求められていると感じています。 もっとも、プロービングは正確でなければならないことは、すでに私たち歯科衛生士は十分に理解しています。プロービングエラーが起こると、術者である歯科衛生士が患者さんの病状を正確に把握することができません。特に、SPT期に歯周ポケットが深くなると、アタッチメントロスが起こっている可能性があることからも、プロービングエラーがあると歯周状態の悪化を把握できなくなります。それが、歯科医師の診断にも影響します。何より、患者さんへの説明においても間違いが起こる結果、患者さんからの信頼を失うことになります。 しかしながら、筆者が指導を担当した院内研修(OJT)の現場では、正確なプロービングの重要さを理解し、プローブの把持・動かし方やポジショニングなどのトレー二ングを重ねてきたにもかかわらず、プロービングエラーに遭遇することがあります。その原因の1つは、歯の解剖学的形態を意識したエックス線写真の読影や予測を行わずにプローブを挿入する“いきなりプローブ”にあるのではないかと考えました。 PART1で紹介するように、プロービング時にエックス線写真を読影しておくことで、エラーはかなり少なくなると感じています。今回は、プロービングエラーをなくすために何をすべきか、一緒に取り組みましょう。丸尾 操 株式会社PASSION代表・歯科衛生士52TOPICはじめに ─なぜプロービングの正確性が求められるのか?─自分では気づきにくいプロ

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