Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2021年No.1
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Journal of Aligner Orthodontics | 2021 vol.1 issue 1Werner Schupp, Dr. med. dent Fachpraxis für Kieferorthopädie, Haupstraße 50, 50996, KölnJulia Haubrich, Dr. med. dent. Fachpraxis für Kieferorthopädie, c/o Schupp, Hauptstraße 50, 50996 Köln尾島賢治 Kenji Ojima, D.D.S 2-39-5-2F Kataoka Build. Hongo, Bunkyo-Ku/Tokyo/Japan檀 知里 Chisato Dan, D.D.S 2-39-5-2F Kataoka Build. Hongo, Bunkyo-Ku/Tokyo/Japan熊谷友理子 Yuriko Kumagai, D.D.S 2-39-5-2F Kataoka Build. Hongo, Bunkyo-Ku/Tokyo/Japan大塚純正 Sumimasa Otsuka, D.D.S, PhD. 1-22-5-3F Nakazawa Build. Higashi Gotanda/Shinagawa-ku/Tokyo/JapanCorrespondence to: Dr Werner Schupp E-Mail: schupp@schupp-ortho.deWerner Schupp39Werner Schupp, Julia Haubrich, 尾島賢治, 檀 知里, 熊谷友理子, 大塚純正翻訳:尾島賢治、檀 知里、渡邉仁資、熊谷友理子[本郷さくら矯正歯科/スマイルイノベーション矯正歯科]キーワード アライナーによる加速矯正治療、アライナー矯正治療、Ⅲ級治療、下顎弓の遠心移動、Invisalign、スケレタルアンカレッジ 上下顎の重篤な不調和が認められる骨格性Ⅲ級症例では、外科的矯正治療が行われる。しかし、外科的矯正治療にはさまざまな条件があり、患者の希望に応じて非外科的矯正治療を選択しなければならないこともある。その場合、前歯部に叢生をともなう反対咬合を有する患者では、下顎小臼歯抜歯と下顎切歯の舌側傾斜を行って改善を図るのが一般的である1。また、上顎歯列弓の側方拡大も有効である。しかし審美的な観点から、可撤式の矯正装置や、従来法の固定式装置では舌側矯正装置を希望する患者もいる。わずか数年前まで、アライナー矯正治療は固定式装置による治療より時間がかかり、歯軸方向の移動を正確にコントロールできないことから、アライナー矯正治療を行う症例は慎重に選ぶ必要があるとされていた2。 2010年、SchuppらがInvisalignシステムを用いて非抜歯かつ大臼歯の遠心移動3のみでⅡ級治療を行った論文を発表した後、これまで抜歯しなければ治療が不可能と考えられてきた同様の症例を、非抜歯と大臼歯の遠心移動というアプローチで治療するケースが増えている4-6。上顎臼歯部の遠心移動についての症例報告に比べて、下顎臼歯部の遠心移動についての症例報告はその数が少なく7、また明確なデータ(臼歯部の遠心移動距離の限界など)については、いまだ示されていない。 本報では2症例を紹介する。1症例目はInvisalignテクニックのみを用いた治療で、7日ごとにアライナーを交換した。2症例目は重度の骨格性Ⅲ級症例に対して、アライナーと歯科矯正用アンカースクリュー(以下TAD)8、加速矯正装置のAcceledent(OrthoAccel Technologies社、米国・テキサス州)9-11を併用した非外科的矯正治療を行い、より効果的で迅速な下顎臼歯部の遠心移動が得られたものである。症例報告骨格性Ⅲ級症例におけるアライナーを用いた加速矯正治療

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