Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2021年No.1
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COUCHAT et al監修:岡藤 範正[松本歯科大学歯学部歯科矯正学講座]Journal of Aligner Orthodontics | 2021 vol.1 issue 1orthodontic tooth movement / OTM 図1 傾斜移動における矯正的歯の移動力が歯冠に直接加わると、歯軸が近遠心方向に傾斜する。❶ 移動前 図2 歯体移動における矯正的歯の移動歯冠に装着したブラケットがワイヤーに沿って滑るため、歯が傾斜せず平行に移動する。❶ 移動前矯正力を加えると、歯根膜が弾性変形して歯が傾斜する。そのまま矯正力が持続すると、歯根膜が圧迫される領域では破骨細胞によって歯槽骨が吸収される。一方、牽引される領域では骨芽細胞によって歯槽骨が添加される(歯槽骨のリモデリング)。矯正力を加えると、ワイヤーによって傾斜が防がれたまま歯が平行に移動する。このとき歯には、図3に示すようにブラケットを介してワイヤーからモーメントが作用する。遠心側の歯根膜は一様に圧迫され、歯槽骨が吸収される。一方近心側は一様に牽引され、歯槽骨が添加される。98←遠心近心→歯根膜※力のかかり方がわかりやすいよう簡略化しています←遠心近心→歯根膜※力のかかり方がわかりやすいよう簡略化しています圧迫側破骨細胞骨芽細胞牽引側圧迫側破骨細胞矯正力牽引側骨芽細胞破骨細胞圧迫側モーメント矯正力リモデリングの結果、歯槽骨は歯の傾斜に合った形態となる。力を取り除いても歯槽窩が移動しているため、歯は傾斜した位置にとどまる。その結果、歯は歯槽窩とともに遠心へ平行に移動する。なお同じ矯正力がかかっていても傾斜移動より移動速度が遅い。骨吸収骨形成牽引側骨芽細胞骨吸収骨形成骨吸収骨形成日本版オリジナルページ 知っておきたい矯正歯科学の基本の「き」 1❷ 移動中❷ 移動中❸ 移動終了❸ 移動終了矯正的歯の移動(1/2)

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