Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2022年No2
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尾島賢治キーワード アライナー矯正治療、開咬症例、前歯部挺出、治療難易度、MFT、TAD、外科的矯正治療、サージェリーファースト開咬の治療を戦略的に考えることができるようになる。本報が読者の先生がたの、治療計画立案の一助になれば幸いである。77尾島賢治 檀 知里 熊谷友理子 Yuriko Kumagai, D.D.S 渡邉仁資 Hitoshi Watanabe, D.D.S, PhD. スマイルイノベーション矯正歯科・新宿 〒160-0023 東京都新宿区西新宿1丁目3-17 新宿第一青井ビル4階渡邊 章 東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2丁目9-18菅原準二 仙台青葉クリニック 〒980-0824 宮城県仙台市青葉区支倉町1-31Ravindra Nanda, B.D.S, M.D.S, PhD. Professor Emeritus, University of Connecticut, Farmington, CT, USA 連絡先: 尾島賢治 E-Mail: kenjiojima@jaligner.comJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2022 vol.2 issue 2Kenji Ojima, D.D.S Chisato Dan, D.D.S Akira Watanabe, D.D.S, PhD. Junji Sugawara, D.D.S, PhD. 尾島賢治、 檀 知里、 熊谷友理子、 渡邉仁資、 渡邊 章、 菅原準二、 Ravindra Nanda 前号の前編に引き続き、近年適応範囲が拡大しているアライナー矯正治療の開咬症例における治療難易度の分類(次ページ図1、2)1-3と実際の症例について供覧する。本稿では、さらに難易度の高いLEVEL4~6について述べる。 開咬症例のアプローチとしては、前歯部の挺出移動4と臼歯部の圧下移動、そして下顎骨の反時計回りの回転(カウンタークロックワイズローテーション)5、習癖の発見とその改善を目的とした口腔筋機能療法(MFT)などが挙げられる。 そしてさらにこうした治療難易度の分類によって、日本版オリジナルページ 症例報告中等度~重度の開咬症例に対するアライナー矯正治療の注意点 軽度の開咬症例においては、まず前歯部の挺出量の計算を顔、口唇、前歯部の歯肉の見え方などから分析し、セファロ分析によって歯軸の傾斜角度や移動量を算出し、それらの情報をInvisalignの歯の移動シミュレーションソフトウェアClinCheckにトランスファーさせて治療計画を立案する。またそれにともなって大臼歯の圧下量も分析する。 難易度LEVEL1においては大臼歯には固定源としての役割のみを考え、ほとんど移動を行わない。LEVEL2になると大臼歯の圧下、そして下顎骨の反時計回りの回転による前歯部開咬の改善などが加わってくる。LEVEL3はそれに上顎大臼歯の遠心移動が加わる。LEVEL4は小臼歯抜歯をともなうアプローチ、LEVEL5ではTADを用いて下顎大臼歯の遠心移動、そして骨格的な不調和をともなうLEVEL6は顎矯正手術を併用アライナー矯正治療における開咬の治療レベル別アプローチ(後編)

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