Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2022年No3
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b図29 症例3:2回目(a)、3回目(b)の追加アライナー開始時と装着終了時の重ね合わせ(青:移動前)。abcaJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2022 vol.2 issue 3図26 セグメンテッドルートトルク(a:歯肉退縮発症確認時、b:1回目追加アライナー装着時、c:2回目追加アライナー装着時)。歯肉退縮を引き起こした歯を隣接歯の歯根より歯槽骨内(舌側方向)へ移動することによって、歯肉退縮部への結合組織の陥入を促進する。アライナー矯正治療では、歯肉退縮の生じた歯の歯根が隣接歯の歯根より舌側に位置するようリンガルルートトルクを付与する。歯肉退縮の改善が確認できたら、隣接歯の歯根を舌側移動し歯をアライメントする。結合組織の誘導歯肉退縮図27 症例3:1回目の追加アライナー装着開始時と装着終了時の重ね合わせ(青:移動前)。図28 症例3:治療開始後18か月時、1回目の追加アライナー装着終了時の歯肉退縮発症箇所の口腔内写真。計画どおり舌側移動している(矢印)。であったが、初診時の状態までの完全な回復は得られなかった(図31)。デジタルセットアップの画像(図32)では、治癒過程で下顎左側中切歯の歯肉退縮の形状がU字型からV字型に変化し、最終的にはU字型となっ88日本版オリジナルページンガルルートトルクの付与と2.2mmの舌側移動を計画した(図27)。下顎左側中切歯は良好に舌側移動し(図28)、歯肉退縮の形状がU字型からV字型に変化し、隣接する歯肉からの結合組織の陥入が認められた。 2回目の追加アライナー(17枚、10日ごとの交換)では、下顎左側中切歯に沿って他の下顎前歯をアライメントする目的で下顎右側中切歯に5.6°、下顎右側側切歯に4.0°、下顎左側側切歯に8.2°のリンガルルートトルクを付与した(図29a)。さらに3回目の追加アライナー(10枚、10日ごとの交換)で、下顎4前歯歯根を約1.1〜1.5mm絶対的圧下した(図29b)。その結果、歯肉退縮は発症確認時から比べると大幅に改善した(図30)。下顎前歯部唇側の歯周ポケットは平均約1mm

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