nico 2018年2月
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 ただし、唾液の能力にも限界があります。強い酸が口のなかに繰り返し入ってくると、唾液の作用が追いつかず、歯が溶けてしまうのです。 むし歯も、むし歯菌の出す酸によって歯が溶けて穴があく病気ですが、酸蝕症との決定的な違いは「被害の範囲」です。むし歯は、みがき残したプラーク(細菌のかたまり)のなかに棲むむし歯菌が、砂糖を食べ酸を出すことによって起きます。そのため、起きる場所は限局的です。一方、酸蝕症は、酸が触れた歯面すべてで起きます。つまり被害が広範囲になりやすいのです。 また、硬いエナメル質が溶けて薄くなったところにむし歯ができると進行が加速し、酸で軟らかくなった歯は摩耗・咬耗も病的に進行しやすく、トラブルが複合的に拡大しやすくなるのも酸蝕症の特徴です。 酸蝕症は、現代の食生活や生活習慣と関わりの深い病気です。酸蝕症になりやすい要因をこの機会に知って、歯を溶かす習慣を止め、大切な歯を守っていきましょう。酸蝕症ってむし歯とどう違う?酸蝕症の見た目ってどんな感じ?酸に触れた歯面全体が広範囲に溶ける。まずエナメル質が溶け、進行すると象牙質がむき出しに。知覚過敏が起きやすい。むき出しの象牙質の濃い色とクレーター状のへこみ。プラーク(歯垢)に棲むむし歯菌の出す酸によって限局的に歯が溶ける。さらに進行すると穴があいて痛みが出ることも。歯の根元に黄色味が。歯ぐきとの境目にはエナメル質が少し残る。一見ツルリと平坦でツヤがある。健康な歯むし歯は?酸蝕症は?硬いエナメル質エナメル質に守られている象牙質境目に残るエナメル質広範囲!限局的132018年2月号

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