nico 2018年3月
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した根面がむし歯になることを「根面う蝕しょく」といいます。 上の写真の患者さんたちは、とても熱心に歯みがきをしてくださっていたので、歯冠部はむし歯がなくピカピカです。しかし残念なことに、それを支える歯根部がむし歯になってしまっています。これは、歯肉が下がり露出した根面へのケアが、それまでの歯みがきでは行き届かなかったためです。 家でたとえるなら、建物自体は新築同様に維持できているのに、土台の柱がシロアリに食べられてしまっているようなもの。柱が崩れれば、建物はきれいなまま、ポキリと倒れてしまいます。 年齢とともに歯肉が下がることが多いため、根面う蝕は「高齢のかたの疾患」というイメージがありますが、じつはそうとはかぎりません。歯周病などで歯肉が下がれば、当然、若い人にも起こりえます。高齢者に限らない「大人のむし歯」歯冠部はピカピカ。それなのに…! 50代の男性。歯冠部はしっかり歯みがきしていたものの、歯周病により歯肉が下がり歯の根面が露出したため、そこからむし歯に。年齢とともに歯肉が下がった70代の男性。放射線治療のために唾液が出なくなり、一気に根面にむし歯が広がってしまいました。日常的に強い力で歯みがきをしていて、歯肉が傷ついて下がってしまった患者さん。お元気なうちは露出した根面もしっかりみがけていてむし歯はなかったのですが、健康上の問題によりうまくみがけなくなり、むし歯になってしまいました。歯周病と同じサイレントキラー!根面のむし歯は、多くの場合、自覚症状がなく進みます。また、むし歯になっているのも見た目でわかりづらく、患者さんが歯の変色に気づいたときにはすでに進行してしまっていることも。歯周病と同じ「静かな殺し屋(サイレントキラー)」といえるでしょう。MEMOの部分がほんのわずかに変色しています。これは根面がむし歯になっているんです。歯冠部はぶじなまま、根面にむし歯が広がっています!132018年3月号

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