nico 2018年7月
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してさらに悪いことに、お子さんの場合、生えはじめたばかりの歯は歯の質が弱く、むし歯菌の出す酸にとても溶けやすいのです。このため、深い溝がある生えはじめの奥歯は、むし歯になるリスクが非常に高いといえます。 そこで、「奥歯の溝をあらかじめ合成樹脂などで埋めて、歯ブラシの毛先が届かない場所に、食べかすや細菌が入り込まないようにしよう」というのがシーラントです。 むし歯になったところを削って詰めるレジンなどの詰め物と違い、むし歯になる前から、なりそうなところに詰めます。歯を削らないでできる予防処置ですね。 「コクラン・レビュー」という世界的な学術機関の研究発表でも、シーラントの予防効果は認められています。いまの子どもたちにむし歯が減っているのも、ひとつにはこのシーラントのおかげだと思われます。理屈はシンプル、効果はパワフル。溝のカタチは十人十色。溝の深い奥歯。シーラントをしないと……?奥歯の溝の形状は、人によって違います。とても深く、峡谷のようになっている人もいれば、少しヘコんでいるだけの人もいます。むし歯のなりやすさは、溝の有無ではなく溝の形状に影響されます。OH, MY GOD!(写真提供・解説:神奈川県川崎市・須貝歯科医院院長 須貝昭弘先生)溝の入り口は狭いですが、なかに隙間があります。こんな隙間はむし歯菌の恰好のすみかに。溝の部分が黒くなっている奥歯。レントゲン(エックス線撮影)で大きなむし歯の影が見えたので、溝の部分を削りました。すると、やはり内部にむし歯が広がっていました。溝をシーラントでふさいでいれば、むし歯にならずにすんだかもしれません。要シーラント溝が歯のエナメル質深くまで伸びています。これもむし歯のリスクが高いです。入り口が広く奥行きも深いタイプ。食べかすも入りやすく、リスクが非常に高いです。溝が浅いタイプ。歯ブラシが十分に届くので、これならシーラントは不要です。シーラント不要要シーラント要シーラント412018年7月号

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