nico2018年8月
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ほしいですね。もちろん、プライバシーを確保できる洗面所をできるだけ早く用意するようはたらきかけるのも、私たち災害歯科の課題ですが。―もしもの災害に備え、日ごろからお口の健康で私たちが備えておくべきことは何でしょう?中久木 多少痛みや違和感があっても、「もうちょっと様子を見てから歯医者さんに行こう」というかたが多いです。そんなときに運悪く災害が起こると、一気に悪化してしまう。体力の低下と心労により、からだの免疫力が落ちますからね。 ですから、悪いところがあるなら早めに治して、メインテナンス―定期的に歯科医院に通って良好なお口を維持する状況―にもっていってほしいです。メインテナンスの状態なら、ご自分のセルフケアで被災時も維持できることが多いですし。 緊急時の医療資源は限られるので、医療者としては、できるだけ災害時要配慮者(要介護の高齢者や生活に困難のあるかた、乳幼児や妊婦さんなど)に優先的に回してあげたいと考えています。そうしたかたたちはちょっとした環境の変化ですぐに大きく体調を崩してしまいますから。―最後に一言、お願いします。中久木 被災生活では、歯や口のことはどうしても後回しとなりがちです。でも、お口の健康は災害時こそ全身の健康に直結しますので、けっして軽視してはいけません。 何かお口のことで困ったことがあったら、避難所のスタッフに相談してみてください。自治体のもと、災害支援全体と協働していますので、歯科支援チームにも情報が届いてアレンジされるはずです。 最後に、次の4つの標語を贈ります。ぜひ覚えておいてくださいね。―本日はありがとうございました。日ごろの備え、教えてください。手軽にお口のエクササイズ!あいうべ体操お口まわりの筋肉と舌の筋肉を鍛える体操です。4つの動作を順に繰り返していきます。「い~」と口を横に広げる。い「うー」と口を前に突き出す。う「べ~」と舌を思い切り伸ばす。べ「あー」と口を大きく開けるあ入れたかな? 持ち出し袋に 歯ブラシを入れ歯なら ケースも入れて ブクブクも負けないぞ お口動かし 唾液出せわっはっは 笑い飛ばして 乗り越えよう! お口の健康サポートのようす災害公営住宅でのレクリエーション。吹き矢で遊びながら呼吸機能を鍛える。仮設住宅の集会室にて、歌に合わせたお口の体操をしているところ。(福岡市・みらいクリニック院長 今井一彰先生考案)452018年8月号

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