nico2018年8月
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中久木 災害によって、現地の歯科診療所が診療不可能になることもあります。そうすると、一時的に歯科医院が地域になくなり、無医村みたいな状態になってしまいます。 その場合、仮設診療所をつくって応急的な歯科診療を行いますので、これを支援します。避難所だけでなく、高齢者施設にも訪問に出かけますね。―設備や器具が足りなかったりしないのでしょうか。中久木 水や電気、そして人も足りませんので、優先度を見極めることが大切です。それでも、痛みや腫れなどの緊急性のあるものは、むし歯を削って詰めたり、入れ歯の修理をしたりして応急処置を行います。中久木 もうひとつ大事なのが、お口のケアの推進です。避難所は、衛生環境が保ちづらく、風邪や下痢などの感染症になりやすい場所です。 「感染症の入り口」であるお口の―災害時の保健医療支援活動というと、医師や看護師などの医科の医療者の姿が浮かびますが、歯科医師や歯科衛生士の皆さんも支援活動をされているんですよね。中久木 ええ。お口の健康のプロフェッショナルとして、被災者のかたたちの歯科治療や、健康維持のサポートをしているんです。活動は大きく次の3つに分けられます。 1 身元確認への協力 2 応急歯科診療 3 お口からの健康サポート順番に説明していきましょう。中久木 災害で不幸にも犠牲になられたかたの身元確認作業は、歯科の重要な仕事のひとつです。警察の身元確認に、歯科的所見から協力します。生前に受けた歯科治療の記録や、レントゲン写真などと照らし合わせて、ご本人の確認を行います。災害時の歯科の活動、聞いてみました。日本を襲った過去の大災害未曽有の被害をもたらした東日本大震災(2011年)連続して震度7に襲われた平成28年熊本地震(2016年)(写真協力:宮城県・木村歯科医院 木村 裕 先生)地震で崩落した熊本城の石垣。 応急歯科診療2 お口からの健康サポート3 身元確認への協力 140

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