nico2018年8月
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ない、歯みがきもしづらい、ストレスや栄養のかたよりがあることなどにより、だいたいどの避難所でも、お口の粘膜の炎症が増えやすい感があります。親知らずの周りの歯周炎(智ち歯し周しゅう囲い炎えん)も増えます。―むし歯はどうですか?中久木 初期むし歯になるリスクが高くなるようです。菓子パンが配給されることが多く、歯みがきもしづらい環境ですので。―高齢のかたは入れ歯のトラブルも増えると思いますが。中久木 避難所では洗面所があるところは少なく、また、周囲の目を気にして、入れ歯を外して洗うのをためらうかたもいます。置いておく場所もありませんから、ずっとつけっぱなしにされることもあります。 毎日掃除しないと、入れ歯にもプラークがつきます。すると、入れ歯まわりのお口の粘膜が炎症して腫れ、噛みづらく、話しづらくなります。そして、食べない、しゃべらないとなって、栄養がさらに不足し、お口も動かなくなっていきます。 入れ歯を入れているかたには、災害時も入れ歯のケアを欠かさないでべきお口の機能のひとつですから、ふさぎこまずによく話して、ストレスを発散するとともに唾液をたくさん出してほしいですね。―避難生活で起こりがちなお口のトラブルには、どんなものが?中久木 具体的な統計はないのですが、支援活動に参加された先生がたの所感では、粘膜疾患がとくに多いです。口内炎や歯ぐきの腫れ、歯周炎など、お口の粘膜の炎症全般ですね。 水が限られているので水分が足り歯ブラシを。水がない環境で使える液体ハミガキ(ノンアルコールのものが刺激が少なくていいですね)や、口腔ケア用のウェットティッシュも便利です。 入れ歯をお使いのかたは、入れ歯ケースや洗浄剤も忘れずに。歯間ブラシなどは、支援物資として届きづらいものですので、ふだんお使いのものがあるならそれも入れておきましょう。のような少量の水での歯みがき法も知っておくといいですよ。―お口の体操には、どんなものがありますか?中久木 の「あいうべ」体操や「パタカラ」体操などを勧めています。皆さんで集まって、いっしょにお口を開けたり、舌を伸ばしたり、「パ」「タ」「カ」「ラ」と声を出したりします。 意外なところで、ふだんのおしゃべりもお口の健康に大事です。会話をすると、お口が動いて唾液が出ます。唾液はお口を清潔に保ち、歯を修復し、細菌感染を防ぐほか、食べるときの潤滑剤にもなります。「食べる」というのも、災害時に守られる粘膜の炎症が増えやすい!水が少ないときの歯みがきのしかた水が少ないときでも歯みがきは欠かせません。3(ライオン「災害時の清潔・健康ケア」より)1コップに少量の水を入れ、その水で歯ブラシを濡らして歯をみがきます。 2歯ブラシが汚れてきたら、ティッシュなどで汚れをふき取り、またみがきます。最後にペットボトルの水で口をすすぎます。44

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