nico 2018年10月号
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追跡調査したデータです。時間がたつにつれて認知症を発症したかたが増えてきますが、なかでも多かったのが、歯がほとんどなくて入れ歯を使っていないかたです。 一方、歯がなくても入れ歯を使っているかたの発症率は、歯が20本以上残っていて自分の歯で食べているかたと遜色のないレベルにとどまりました。 じつは噛むことと認知機能にはたいへん密接な関係があり、噛むことによって脳の血流が増え、認知機能が活性化されることがわかっています。つまり、歯がないかたでも、入れ歯をきちんと使ってよく噛むことで、自分の歯があるのと同程度の活性化の効果を得られている可能性があるわけです。 噛めるお口は、低栄養の予防はもちろん、認知症の予防にもたいへん重要です。歯科医院に相談し、入れ歯のほか、インプラント治療も視野に入れるなど、ご自分に合う治療の選択肢を検討して、ぜひ噛めるお口を取り戻してください。T.M.S.V. Gonçalves et al., Journal of Dental Research. 2013;92(12)歯科治療で噛む力が回復する入れ歯インプラントで支える入れ歯インプラントでガッチリ固定020040060080010001200140054321噛めないと認知症になりやすい認知症になっている人の割合食品粉砕力日数歯科治療で脳の活動はどうなる?木本克彦ほか「Clinical Neuroscience 別冊」(2008年26巻8号)運動野、感覚野の領域が明瞭に活性化している。活性化の局在性がやや不明瞭になっている。自分の歯で噛む人とほぼ同様の領域が明瞭に活性化。4060200(%)800(%)Yamamoto T et al., Psychosomatic Medicine, 2012;74(3)61.6±10.638±7.719±5.3インプラントで噛んだ部分入れ歯で噛んだ自分の歯で噛んだ歯がほとんどなく義歯未使用歯が20本以上のこっている歯がほとんどなく義歯使用192018年10月号

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