nico 2018年12月号
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さんが、歯が生えてくる前に退院しておうちに帰るでしょう? ―退院当時、歯医者さんとのご縁がないんですね。田村 そうなんです。歯科のケアや情報に接する機会のないまま、「口から食べていなくても歯みがきは必要なのかな?」「生え替わりが遅いのでは?」「お口を開けてくれないので、お口のなかを見られていない」といった悩みを親御さんが抱えておられるという現実を目の当たりにして、「これはいけない、なんとかしなければ」と強く感じました。―この現状を変えていこうと立ち上げられたのが「多摩小児在宅歯科医療連携ネット」(以下、たましょう歯しネット)ですね?田村 はい。もともと多摩地区には小児医療の先進的な基幹病院があります。この病院の小児歯科の先生がたの「むし歯が大きくなってから病院歯科で全身麻酔して治療する(恐っかけも「お願いできませんか?」とお母さんから医局に直接かかってきた一本のお電話でした。―訪問していかがでしたか?田村 「経管チューブは? 気管切開箇所のケアは?」と緊張してお宅にお邪魔したのですが、私の心配は杞憂でした。病院を退院するとき、親御さんはお子さんに必要な吸引、チューブの交換など、生活に必要なすべてを練習し、マスターしておられるんですよね。―すごいことですね。田村 ほんとうにすごいです。一方、知れば知るほど課題を感じたのが、かかりつけの小児科や訪問看護のサポートはあっても、歯科のサポートにアクセスできないまま、成長するにしたがってお口の問題が大きくなってしまっているお子さんがおられるということです。ほとんどのお子地域で訪問診療を行うかかりつけの歯科医院、病院の歯科、地域で訪問診療を行う小児科医、病院の小児科、訪問看護ステーションが情報を共有し診療にあたります。望まれる歯科の連携システム地域で訪問診療する歯科医師病院の小児科訪問看護ステーション処置が必要な時などに受診。病院歯科の混雑解消にもつながります。病院歯科歯科のサポートが届いていない?!歯医者さんが訪問して予防ができたら……。あきる野市檜原村奥多摩町日の出町青梅市多摩地区の0~9歳の子どもはおよそ51万人。そのうち在宅療養児は1000人ほどと思われます。多摩地区には、重症児の歯科医療が可能な病院歯科が12施設ありますが、これだけあっても、じつはまだ足りないという状況です。地域で訪問診療する医師障がいのある子どもたち392018年12月号

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