nico 2019年5月号
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トレーニング中の口呼吸で唾液が乾くと、唾液が歯を補修する「再石灰化作用」が十分に働きません。そのため、アスリートのお口はむし歯予防に不利な条件下にあるんです。アスリートはむし歯になりやすい?Questionアスリートがむし歯になりやすいなんてはじめて知りました!なぜですか?!Patientことなんです。 私が世界でしのぎを削るトップアスリートたちの現場に飛び込み、歯科健診をするようになってはじめて知ったこと、それは選手のむし歯経験歯数(過去から現在までのむし歯の本数)の多さでした。意外なようですが、こうしたことは海外のオリンピック選手の調査*でも指摘されていて、どうやら日本の選手に限ったことではないようなのです。 そして、スポーツが歯の健康に与えるリスクは、ひと握りのトップ選手だけでなく、学校の部活やスポーツクラブで練習に励んでいるお子さんや、日常的にランニングを楽しんだり、ジムでトレーニングしているアマチュアアスリートのかたにとっても無縁ではありません。 むし歯は日々の積み重ねによってできるもの。ある日突然、歯に穴が開くわけではありません。現在のトップアスリートも、かつては中学の部活やクラブで頑張っており、その頃からの積み重ねがあって今があるわけです。ですから私としては、直はバレーボール日本代表のメディカルチームの一員として、選手の歯のお世話をしている歯科医師です。歯科健診や予防指導、治療を担当し、トップアスリートがよいコンディションで試合に臨めるように、歯科の立場からサポートさせていただいています。 ところで、からだを動かすのが大好きというかたは多いですが、そんなかたが「アスリートはむし歯になりやすい」などと知ったら、驚くかもしれませんね。でもこれ、本当の運動中は口で呼吸をするのでお口のなかがカラカラに乾きますよね。唾液には本来、むし歯になりかかった歯を修復してくれる「再石灰化作用」があるのですが、唾液が乾いてしまうとこの作用が働きにくくなるためむし歯のリスクが高くなってしまうのです。nswerADoctor私じつは10

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