まずありません。ですから、とてもむし歯の一種とは思えませんが、これも立派なむし歯です。 歯の表面の白濁は、生まれつきのエナメル質の形成不全などが原因のこともあります。しかし、いままでなかったところにいつの間にか白く濁った斑点ができたというなら要注意。初期むし歯の可能性が大です。初期むし歯が進行すると、やがてみなさんおなじみの「穴の開いたむし歯」になります。 ちなみに歯科では、穴の開いていないむし歯を含め、むし歯全般を「う蝕しょく」、むし歯でできた穴を「う窩か」（「窩」は穴、くぼみの意）と言い分けています。 穴の開いていない初期むし歯の段階なら、早期に発見して対処できれば、見かけが元通りに戻る可能性もあります（→16ページ参照）。ですが、そのためには患者さんのご協力が欠かせません。 「初期」だからといって侮るなかれ。今月の特集で、初期むし歯について詳しくなってくださいね。初期むし歯穴の開いたむし歯●穴は開いていない。●つやがない白濁色（褐色に見えることもある）。●手触りもなめらか。●しみる、痛いなどの 自覚症状はない。●フッ素（フッ化物）の 作用で元に戻せる 可能性あり！●みなさんがイメージするむし歯。●褐色または黒色。注 奥歯の溝の変色は着色（むし歯ではない）のこともある。●しみる、痛いなどの自覚症状が出はじめる。奥歯奥歯初期むし歯がいわゆる普通のむし歯と違い白く濁って見える理由は、その構造にあります。15ページでお話ししますが、初期むし歯になっている部分は、歯の表面の結晶が外側を残してスカスカになっています。これはたとえるなら、水道水を凍らせた氷のようなもの。右の写真のように氷のなかに無数の気泡ができているため、その部分が光の屈折によって白く濁って見えます。初期むし歯でも、これと同じことが起こっているんです。初期むし歯はなぜ白い？columnUターン可一方通行前歯前歯気泡が多い部分は白く濁ってみえる水道水を凍らせた氷112019年6月号
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