患者さんにとっての仮歯とは、口もとの印象があまり変わらないとか、食事がラクで、息もれせず話しやすいなどの意味合いが大きいでしょうが、じつは質のよいスムーズな治療にとって、とても重要なアイテムなのです。良質な治療を支えています。Question先々週に仮歯が取れちゃったまま、忙しかったこともあって10日ほど放っておいたんです。そのあと受診したら、先生がガックリ肩を落としていました。そんなに仮歯って大事なんですか？Patientそのわけをご説明しましょう。 仮歯は大きく分けて3つの役割を担っています。❶削った歯を細菌感染や刺激から守る……削った歯は傷口と同じ。包帯のような役割です（→14〜15ページ）。❷歯型を取ったあと歯が動かないよう固定する……歯は放っておくと自然に動きます。土台の歯が動いて、できあがった被せ物が入らなくならないよう固定します（→16ページ）。❸「噛める状態」を維持する……治療中も噛んで食べられるようにします。しばらく噛まずにいると食感のセンサー「歯根膜」が怠けます。そこへ被せ物が入り急に噛めるようになると、過剰反応し「被せ物が高い！」と感じてしまうのです。そこで本番に備え、仮歯を使い噛むことに慣らしておきます（→17ページ）。 なお、この特集で取り上げるのは、一般の歯科治療で使われている仮歯についてです。審美治療で使われる精密な仮歯（プロビジョナルレストレーション）は、一般的な仮歯とは別物で、もっと多くの役割を担います。仮歯の重要性は治療の段階によって少しずつ違いはあるものの、患者さんが思っておられる以上に治療の質に深く関わるのです。大きく3つの役割があるのでご紹介しましょう。nswerADoctor治医の先生の気持ちをお察しします。大切に進めてきた治療の質が、ガタっと落ちてしまいかねない事態ですからね。 仮歯は、噛む力が歯にかからないほうがよいときには使わないこともあり、治療の段階によってもその重要性や意味合いに違いがあります。ただ、仮歯を使っている以上は、やはり必要があって入れているので、もし仮歯が取れてしまったら、すぐ歯科医院に連絡をしてください。 なぜそんなに仮歯が大事なのか、主12
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