nico 2019年11月号
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――「子どもの歯ぎしり」を研究なさっておられたとか。諏訪 神奈川歯科大学の大学院で、成長発達歯科学講座の佐藤貞雄教授のもと矯正治療を学んでいたときの研究テーマなんです。私自身、子育ての真っただ中でしたし、子どもの成長発達の勉強は、矯正治療にもおおいに役に立つものですから。――睡眠中に歯ぎしりをする子どもって、意外に多いようですね。うちの子も小さい頃してました。諏訪 たいていのお子さんがしていると思いますよ。――えっ、やはりそうなんですか。小児歯科の先生にお尋ねすると、「生理的なものですから、大丈夫です」とおっしゃいますよね。諏訪 まさにそのお答えがピッタリだと思います。眠っているとき、子どもは誰でも生理的に歯ぎしりをするものです。だから、「そんなに心配しないであげてください」と、まずはお伝えしたいですね。――やはりそうなんですか。諏訪 はい。子どもの歯ぎしりは「睡眠随伴行動」と呼ばれる、おねしょとか寝言、寝ぼけなどの仲間なんです。起きたときは記憶に残っていないし、成長とともに自然に消えていく行動です。まれに歯ぎしりがすごく強くて詰め物がすぐ取れちゃうようなお子さんもおられますが、詰め物をやりかえたりしながら様子を診ているうちに、乳歯が硬い永久歯へと生え替わっていきますから。――歯が削れていても大丈夫?諏訪 ええ、歯ぎしりで歯が削れているお子さんって、本当に多いですよ。左ページ右上の写真くらいの削れかたは、全然めずらしくないです。ご心配にはおよびません。――ホッとしました。諏訪 削れているのは、ほとんどの場合乳歯です。3~5歳くらいの乳歯列の頃のお子さんは、顎関節の蝶ちょう番つがいが柔軟というか、可動域が大きいんですよね。それでゴリゴリッとあごがグラインドするので、歯が摩耗歯ぎしりはたいていの お子さんがします。38

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