nico 2019年11月号
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しちゃうんです。しかも永久歯にくらべ乳歯は軟らかいですから、とても削れやすいです。――削れたらしみませんか?諏訪 気になりますよね。でも乳歯って、かなり削れていても不思議なくらいしみません。永久歯だったら、しみてつらくて仕方ないでしょうが。生え替わることが前提の歯なので、もともと永久歯よりも痛みに鈍くできているのでしょうね。――えっ、右上の写真みたいに削れていても?諏訪 ええ。しみるという場合、激しい歯ぎしりで、6歳頃に生えてくる硬い永久歯(6歳臼歯)まで乳歯といっしょに削れてしまっていることが多いです。しみてつらいときは、削れたところをコンポジットレジン(白い歯科材料)で覆ったり、あごの成長を妨げない程度にナイトガード(マウスガード)を使って歯を守るといった対策が必要になることもあります。――なるほど。諏訪 でも、ナイトガードを使うほどのケースは、私もこれまでいろんなお子さんのお口を拝見していますが、わずか2例ですので……。「ごくまれ」、と言ってしまってよいと思います。――それでは、「歯ぎしりで乳歯が削れているけど、しみないから平気」というお子さんの場合は、放っておいていい?諏訪 通常は、永久歯に生え替わるまで治療せずに、そっと見守ることが多いです。――被せ物をしたりしないで?諏訪 はい。ただし経過観察は大事です。エナメル質が削れてなくなった歯は、エナメル質に覆われた歯にくらべるとむし歯に弱いですから。歯医者さんで定期的にフッ素塗布を受け、永久歯への生え替わりを経過観察してもらうと安心ですよ。――ああー、よかった。「削れた歯に軒並み治療が必要になっちゃうんじゃないか」と心配する声が読者のかたから寄せられていたので。しみないケースが多いです。食用色素を塗布した赤いシートを歯に装着してもらい就寝中の歯ぎしりを記録しました。歯ぎしりでこすれて色が剥がれたのはおもに犬歯で、奥歯はほとんど剥がれていません。同様に赤いシートで就寝中の歯ぎしりを記録。こちらのお子さんは、前歯から奥歯までまんべんなくギシギシとグラインドしていました。歯ぎしりが少なめの お子さんです。歯ぎしりが多めの お子さんです。「歯が削れている」とご両親は心配なさっていましたが、経過観察中にきれいな永久歯へと何ごともなく生え替わりました。乳歯のこれくらいの削れは ごくふつうのことです。前歯~奥歯を使い歯ぎしり犬歯が中心の歯ぎしり392019年11月号

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