nico 2020年3月号
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怒り」といった「情動」、つまり心の痛みとつねにセットです。どちらも脳のなかで生まれ、強く影響し合っています。舌痛症の症状が、ストレスが強まったときに出やすいのは、おそらくこうした仕組みが関係しているのでしょう。 ストレスが昂こうじると、痛みを抑えてくれる脳内ホルモンであるセロトニンやノルアドレナリンの働きが低下し、それが痛みの発生を強化してしまうことも関係しているのではないかといわれています。 こうした特殊な状態が脳内に生じ、抜群に敏感なセンサーをもち脳と膨大な情報をやりとりしている「舌」にその症状が出てしまう。そう考えると舌痛症の背景がおぼろげながら理解できるようにも思います。 舌痛症は、原因も治療法も十分にはわかっていませんが、少なくとも心身両面からの対応が必要な病気であることは確かです。それではここからは、典型的なケースをご紹介しながら、症状の改善の鍵を探っていきましょう。舌痛症の謎の痛みはどこで生まれてる?ヤケドの痛みのルート舌痛症の痛みのルート痛みの感覚を生む大脳皮質情動(不快、不安、怒りなど)をつかさどる大脳辺縁系神経舌ヤケドのシグナルストレスでつらい!熱っ!舌痛症の痛みのルートヤケドの痛みのルート舌が痛い!不快! 不安!ヤケドが治れば痛みは消えます。舌が痛い!不快! 不安!強いストレスが継続的に加わると慢性的な痛みが続きます。らだの痛み」の感覚を生む大脳皮質と「心の痛み(ストレス)」などの情動をつかさどる大脳辺縁系は、「痛い!→不快! 不安!」と緊密に連携しています。 舌のヤケドやキズ、口内炎などのシグナルが脳に送られていないのに起きてしまう舌痛症の痛みは、強いストレスをキャッチした大脳辺縁系が「舌が痛い!」という誤ったシグナルを出してしまうからだと考えられています。 また、痛みを抑える脳内ホルモンの働きのストレスによる低下や、神経の過敏化も痛みが強化される一因だとされています。か172020年3月号

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