nico 2020年4月号
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低ホスファターゼ症とはどんな病気なのですか?仲野 骨や歯をつくるのに欠かせないアルカリホスファターゼという酵素が体内で不足するために起きる病気です。骨や歯の成長が不十分になって、骨折しやすかったり、歯が抜けやすくなり、難病指定を受けている病気なんです。何が原因で酵素が足りなくなるのでしょう?仲野 体内で酵素をつくるようプログラムされている遺伝子が変異して、酵素が十分につくれないことが原因です。こうした変異した遺伝子をもつかたがおられて、これがたまたまお子さんに受け継がれて低ホスファターゼ症が発症します。 遺伝性の病気だとご説明すると、親御さんはとてもつらいお気持ちになられます。ですが、現在は国内で開発された優れた薬があるので、日本では世界に先駆けて、「酵素の補骨や歯に症状が出る進行性の病気です。充」という根本療法が受けられます。早期に治療が受けられれば、骨の成長が促されて、お子さんの将来がまるで違ったものになる。それだけに、早期発見が重要なんです。よいお薬があって治療が可能なんですね。よかったあ!仲野 ただ問題は、軽症型のお子さんについては、病気が見逃されやすいという点です。 低ホスファターゼ症の患者さんでは、症状の重さにバリエーションがあります。重症型の場合、お母さんのお腹のなかで肋ろつ骨こつがうまく育たなかったりすると命にかかわるので、胎児の頃から診断がつくなど、まず見逃されることなく酵素の補充治療が開始されます。 一方軽症型だと、「この子は骨折しやすいなあ」「からだが小さいなあ」「歯が弱いなあ」と親御さんが気が気づかれにくい軽症型の患者さんたち。歯科への受診を隠れ低ホスファターゼ症の早期発見のきっかけに!低ホスファターゼ症の代表的な症状・頭部の変形・けいれん発作頭・胸部の変形・肺の発達不全・呼吸困難肋骨・肺・筋肉、 関節の痛み・何度も骨折する・手足のわん曲筋肉・関節・骨・カルシウムの蓄積・腎臓病腎臓乳歯の早期脱落歯42

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