nico 2020年5月号
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セメント質が薄く覆っています。セメント質の隣には歯根膜があり、あごの骨(歯槽骨)と歯の根をつないでいます。 では、これらはレントゲンではどう見えるのでしょうか。上の写真を見ると、歯の噛む部分でまず目につくのは、エナメル質の白さですね。その内部の、やや白さが落ちるのが象牙質。そしてそのなかにあるグレーの部分が神経です。エナメル質は約97%がミネラルの結晶のため透過性が低く、白く見えます。対して象牙質のミネラルは約70%(残り30%はコラーゲン)なので、透過性がエナメル質より高いため白さが落ちます。 歯の根に目を向けてみましょう。歯の根はほぼ象牙質です。一筋の黒い線を置いて、白い網状のエリアが囲んでいます。ここがあごの骨です。骨は密度が場所により異なるので、ムラのある見えかたになります。 また、レントゲンでは歯ぐきは黒く見えます。同じく歯根膜(一筋の黒い線)、お口の粘膜、舌も、透過性が高いため黒く抜けて映ります。レントゲンレントゲンという呼称は、発見者の名前に由来します。1895年、クルックス管という初期の真空管を使った実験をしていたヴィルヘルム・レントゲン(1845-1923)が、物体を透過する光線を偶然に発見。この光線に「謎」を意味する「X」の文字をあてはめ「エックス線」と名付けました。そのため、エックス線を利用して撮影されたレントゲンは、「エックス線写真」と呼ぶのがじつは正式なのです。COLUMN 「レントゲン」は発見者の名前神経やや透ける=グレー歯ぐき透ける=黒歯根膜透ける=黒あごの骨象牙質あまり透けない=白エナメル質透けない=白セメント質あまり透けない=白あまり透けない=白むし歯になると透けていく!むし歯になると透けていく!歯周病になると透けていく!何が黒くて、何が白い?ヴィルヘルム・レントゲン歯ぐきのライン392020年5月号

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