nico2020年10月号
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レベルで見ていきましょう。細かい説明は次ページでしますので、ここでは右から左にぐんぐん拡大していきますよ。 スタート地点は、右ページの歯の断面図。エナメル質を拡大すると、ウロコのような模様が見えてきます。模様を形づくっているのは「エナメル小しようちゆう柱」。エナメル質には無数の小柱が規則正しく並んでいます(小柱の形状が見やすいように、表面を酸で少し溶かした状態で撮影しています)。小柱ひとつの大きさは4μマイクロメートルmほど。そして小柱のなかには、さらに小さいハイドロキシアパタイトの結晶が詰まっています。 ここで目を右ページに戻して、象牙質を見てみましょう。象牙質を拡大すると、いくつもの穴と、そのあいだに細い糸のようなものが見えます。この糸は象牙質特有の組織で「コラーゲン線維」といいます。線維1本の太さは0・05μmほどです。そしてその線維のまわりを、無数のハイドロキシアパタイトの結晶が覆っています。ここに試料を入れる内蔵レンズここから覗く100nm5µmハイドロキシアパタイトの結晶ハイドロキシアパタイトの結晶エナメル小柱コラーゲン線維ハイドロキシアパタイトの結晶などは透過型電子顕微鏡で撮影しました。この電子顕微鏡は、観察対象に電子線を当てて、透過した電子線の強弱から構造を解析します。原子レベル(1nm)の情報を得ることもできる優れものですよ。透過型電子顕微鏡PICKUPむし歯菌歯周病菌0.6µm(=600nm)50nm100nmTEM像TEM像エナメル質象牙質112020年10月号

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