nico2020年11月号
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激に優れた効果をもっています。カワキタ たしかにだし汁を口に含むと唾液が出る感じがしますけど、唾液腺を刺激するなら、梅干しやレモンのようなすっぱいもののほうがいいんじゃ?先生 と思うでしょう。でもね、ドライマウスのかたは唾液が少ないせいでお口の粘膜が荒れがちなんです。そんなときに梅干しやレモンをお口に入れたらどうなります?カワキタ あ、しみて痛いですね!先生 だから、うま味がいいんですよ。うま味は痛みを誘発しませんから。それに、うま味による刺激は、酸味による刺激より長〜く唾液を出す効果があるんです。カワキタ ヘー、それはオドロキ!先生 ←のグラフは、うま味(グルタミン酸)や酸味などを口に含んだときの、小唾液腺からの唾液分泌量を調べたものです。下くちびるの裏側、小唾液腺のあるところに吸水テープを貼って、味の刺激により分泌される唾液の量を測定しました。カワキタ あらやだ、うま味ってすごいのね。口に含んだ瞬間に出る唾液の量も酸味くらいあるし、そのあとも長く出てるわ。先生 ええ。酸味は最初はたくさん唾液が出ても、長くは続きません。うま味ですと、20分以上マイルドな刺激が残るんですよ。カワキタ ふむ。そうなると、小唾液腺から唾液を出すには、うま味のあるものを食べればいいのかしら?昆布やカツオブシみたいな。先生 基本的にはそういうことですね。ですが、食べるというより「お口の粘膜に触れさせる」。しかも「唾液が出る感覚をからだに覚え込ませる」ことがポイントとなります。カワキタ な、なんだかすごそうですけど、どういうことでしょう?先生 別に難しいことではないですよ。まず、うま味が小唾液腺を刺激するからといって、うま味のあるものを多量に食べる必要はありません。あくまで小唾液腺に刺激を与えるこうま味は長〜く唾液を出す。味による刺激と小唾液腺の分泌量うま味、酸味、甘味、苦味、塩味の刺激により、小唾液腺からどれくらい唾液が分泌されるかを測定した(ドライマウスでない成人11人が対象)。下くちびるの裏側に吸水テープを貼り、小唾液腺から分泌される唾液の量を測定した。黒くなっているところに唾液が出ている。300(ml)(分)25010015020050026101814うま味の刺激は長~く続く酸味の刺激はすぐにおさまるうま味酸味甘味苦味塩味水(Sasano et al. Current Pharmaceutical Design. 2014)40

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