nico2021年5月号
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成人の4人に1人が「飲酒によらない脂肪肝」 肝臓の病気というと、お酒の飲み過ぎによる肝硬変とか、ウイルスによるB型肝炎やC型肝炎がまず思い浮かぶのではないでしょうか。 ですが肝臓の病気には、成人の4人に1人がかかっているといわれる、もっとも多い病気があります。それが「脂肪肝」です。 肝臓はエネルギーの一時的な貯蔵庫なのですが、食べたり飲んだりして摂取したぶんのエネルギーが使われないと、肝細胞に中性脂肪としてどんどん貯えられていきます。このように脂肪が異常に蓄積された状態を脂肪肝といいます。 脂肪肝は、これまで「お酒をたくさん飲む人の病気」だと思われてきました。しかし、お酒をまったく飲まない、または飲んでもたしなむ程度の人の脂肪肝が、ここ20年で爆発的に増えています。 脂肪肝自体は、肝機能の低下が起こるとはいえ、そこまで深刻ではありません。患者さんに自覚症状が出ることもほとんどありません。脂肪肝が怖いのは、人によっては、数十年かけて脂肪肝炎や肝硬変、肝臓がんへと進行していく可能性があることです。 そしてその進行になかでも「飲酒を原因としない脂肪肝」から進行する肝臓の病気に、お口のなかの歯周病菌が関与している可能性が見えてきたのです。 脂肪肝には、飲酒を原因とする脂肪肝(アルコール性脂肪肝)と、飲酒を原因としない脂肪肝(非アルコール性脂肪肝:NナッフルディーAFLD)があります。 「飲酒を原因とする」というのは、1日60g以上アルコールを摂取している人に当てはまります。「飲酒を原因としない」というのは、お酒を飲まない人や、飲んでもアルコール換算で1日30g以下(ビール中瓶1本またはワイングラス1〜2杯に相当。女性なら1日20g以下)の人を指します。お酒を飲まない人の脂肪肝が増えている!隠れ脂肪肝になっている人も多い。●肝細胞に中性脂肪が異常に蓄積された状態です。飲酒をおもな原因とするアルコール性脂肪肝と、飲酒を原因としない非アルコール性脂肪肝があります。●人間ドックや健康診断の腹部超音波検査や、血液検査のALTやASTの数値が判断基準となります(→41ページ)。脂肪肝とは?●やせている人でも、隠れ脂肪肝になっていることが多いです。とくに日本人はやせていても脂肪肝になりやすい傾向があります。「隠れ脂肪肝」の人も多い!●世界でも日本でも、成人の4人に1人が飲酒によらない脂肪肝になっているといわれています。●運動不足や食べ過ぎ(摂取カロリー過多)がおもな原因です。「飲酒によらない脂肪肝」とは?●飲酒によらない脂肪肝から進行する肝臓の病気に、歯周病菌が関与している可能性があると報告されています。歯周病との関係は?歯周病菌(Pg菌)40

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