nico2021年5月号
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飲酒によらない脂肪肝からの肝臓の病気1 30年前ほど前までは、「飲酒を原因としない脂肪肝は病気にならないから放っておいていい」というのが医学の常識でした。しかし1990年代後半から、そうした脂肪肝も肝硬変や肝臓がんになることがアメリカでわかり、非常に問題になりました。 日本でも飲酒によらない脂肪肝のかたは増加していて、成人の4人に1人、約2300万人いると推定されています。「脂肪」という言葉から太っている人がなるものと思われがちですが、やせていても、「隠れ脂肪肝」になっている人も多いです。 脂肪肝になっているかどうかは、人間ドックや健康診断での腹部超音波検査(腹部エコー)や血液検査でわかります。超音波で肝臓の形を診たり、血液中に含まれるALTやASTの数値を調べます。 ALTの数値は、肝臓のダメージの程度を判断する指標となります。ALTは肝臓の細胞に多く含まれている酵素で、脂肪が溜まって肝臓の細胞がダメージを受けると、血液中に漏れ出てきます。ダメージが大きいほど数値は高くなります。 ASTという酵素も肝臓のダメージを示す指標となりますが、ASTは肝臓以外にも存在するため、心臓などの障害でも数値が上がります。ですから、脂肪肝かどうかの判断にはALTが重要です。肝機能が回復してくれば、ALTの数値は低下していきます。ALTの数値にご注意を!肝臓に脂肪が異常に蓄積された状態です。医学的には、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)といいます。この状態では、自覚症状はほとんどありません。脂肪肝健全な状態。からだに取り込んだ栄養を貯蔵したり、エネルギーに変換したり、からだに有害な物質を解毒します。正常な肝臓肝臓を腹腔鏡(内視鏡)で見たところ。正常な肝臓の表面はなめらかです。運動不足や食べ過ぎなどが続くと…約2割肝臓の細胞に多く含まれる酵素。GPTともいう。ALT肝臓の細胞のほか、心臓の筋肉や骨格筋にも含まれる酵素。GOTともいう。AST肝臓の解毒作用に関係する酵素。脂肪肝の指標にはならない。γガンマ-GTP腹腔鏡画像肝機能の状態を示す数値column412021年5月号

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