nico2021年7月号
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ーツドリンクは酸性度も高いです。pHでいうと3・5あたり(pHが低いほど酸性度は高くなる)で、歯のエナメル質が溶けはじめるpHである5・5を下回っています。けっこう酸性なんですね!山田 はい。砂糖の甘味のせいなどで酸味が薄れていますから、すっぱくは感じませんけどね。山田 スポーツドリンクに含まれる多量の糖と酸。頻繁に飲んでいると、当然「歯へのダメージ」となります。ふむふむ。山田 糖はむし歯、酸は酸さん蝕しょく(飲食物の酸により歯が溶ける現象)を引き起こします。砂糖はむし歯菌のエサとなり酸をつくらせますし、飲み物に含まれる酸自体も歯を溶かします。なるほど。山田 ←の写真をご覧ください。頻繁にスポーツドリンクを飲まれていて、酸蝕やむし歯になってしまったお子さんのお口です。右のお子さん、歯が溶けてしまっていますね……!山田 この子は乳幼児用のイオン飲料(スポーツドリンクと同じく酸性度が高い)を日常的に飲んでいて、乳歯が酸蝕で溶けてしまいました。生えたばかりの乳歯はとくに酸に弱いんです。その左のお子さんは、前歯に穴がある以外は問題なさそうな……?山田 と思うでしょうが、前歯以外にも、奥歯の歯と歯のあいだがむし歯になっています。レントゲン(エックス線写真)を見ていただくとわかるでしょうか。あ、歯の隣りあった部分が黒く見えます。これはむし歯ですか?山田 はい。スポーツドリンクは液体ですので、お菓子なんかより歯と歯のあいだに入り込みやすいんです。だから歯と歯のあいだのむし歯を引き起こしやすい?山田 そのとおり。歯の噛む面にできるむし歯は患者さんでも気づきやすいんですが、歯と歯のあいだのむし歯は気づかないうちに進行しやすいですね。歯へのダメージを見てみよう。歯へのダメージスポーツドリンクによるむし歯4歳7ヵ月のお子さん。上の前歯の歯と歯のあいだが、ボロッと欠けています。ぶつけたのではなく、むし歯になった部分が崩れて穴になりました。奥歯は一見きれいですが、じつは歯と歯のあいだにむし歯ができています。レントゲンでうっすら黒く写っているところがむし歯になっています。頻繁なスポーツドリンクの摂取が歯にもたらす害をまとめました。酸蝕1歳11ヵ月のお子さん。乳幼児用のイオン飲料を常に飲まれていました。ドリンクが触れることの多かった上の歯が、すべて溶けてしまっています。432021年7月号

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