nico 2022年5月号
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ごあいさつ工場長よりくちびるはマニピュレーター超高性能な喉頭咽嚥下頭ゾーンょうしうんんうんうう1舌2んうんんきうん3 こんにちは。こちらはみなさんのお口で稼働中の「咀嚼嚥下工場」です。このたびは私たちの工場を見学したいというオファーをいただきまして、たいへん光栄なことです。 みなさんご承知のとおり、食べ物はくちびるでパクッと捕食され、お口のなかでモグモグと咀嚼され、のどでゴックンと飲み込まれて胃袋へ運ばれます。でもそれはじつは、いくつもの複雑な工程がからみあって実現しているんですな。 で、それぞれの工程を詳しく見ていただこうというのが、今回の工場見学の趣旨なわけです。くちびるから口こ腔く、咽い頭と、食道へと、「お口に入った食べ物が咀嚼されて飲み込まれるまで」の流れを順を追って説明していきます。 今日も「安全第一、誤嚥ダメ絶対!」をモットーにがんばりますのでどうぞよろしく。ではまずは捕食ゾーンからご案内しましょう。唇しといい、くちびるの一部にすぎま溝こから上は下か唇しといい、赤唇・上 はい、こちら捕食ゾーンです。このゾーンの主役はくちびる。最初に食べ物が触れる場所ですね。 くちびるというと赤い部分のみのことと思われがちですが、そこは赤せせん。解剖学的には、鼻下からほうれい線のあたりは上じん唇、オトガイ唇し唇・下唇をまとめて口こ唇しといいます。 え、なぜそんな難しい話をするのかって? それは食べ物をパクッとくわえるときには、赤唇にくわえて上唇と下唇の働きが大切だからです。くちびるはいわば超高性能なマニピュレーター(マジックハンド)。食べ物の形状やかたさにあわせて、最適な“つかみ”を実現します。 上唇と下唇の皮ふの下には口こ輪り筋きが走っていて、食べ物をグッとつかんで離しません。おまけに、赤唇から分泌される粘液も、食べ物を吸着するのに役立っているんですよ。40せっしょくえんげ歯科的には「目で食べ物を視認する」段階を含め、食べ物が飲み込まれるまでの工程を「摂かたくるしく聞こえますのでここでは「咀嚼嚥下工場」と名乗っております。食嚥下」というんですが、硬口蓋くちびる軟口蓋口蓋垂(のどちんこ)喉頭蓋気管食道捕食ゾーン咀嚼ゾーン咀嚼嚥下工場見取り図

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