歯科医師のための睡眠医学
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レム睡眠のどちらかに入る.レム睡眠とは,姿勢を維持する筋肉活動が減少し(文献には無緊張と記述されているがこれは不正確で,実際には筋緊張が決してゼロとはならないので,低緊張である),心拍数と脳活動が覚醒時のレベルを超えるほどにまで上昇する.ヒトはすべての睡眠段階で夢をみることができるが,レム睡眠の夢は空想的で創造的な内容をともなって,非常に鮮明な画像を含むこともある.レム睡眠の間は,通常身体が脱力した状態(筋肉の低緊張)となっている. しかしながら,激しい感情的な内容や運動活動をともなう夢をみた場合は,自分やスリープパートナー(睡眠同伴者)を傷つけるほどの体動を引き起こすかもしれない. ウルトラディアンリズムの存在を理解することは重要である.なぜなら,以下に示す睡眠関連疾患を含む病的状態が睡眠中に起こるからである.・周期的な体動(足または手)やグラインディングなどの顎運動は睡眠段階2で観察され,レム睡眠ではみられることは少ない.・無呼吸低呼吸(呼吸の停止または減少)などの睡眠に関連した呼吸の問題は睡眠段階2とレム睡眠で観測される.・身体を傷つけるような危険をともなう活発な夢は,睡眠運動障害のレム睡眠行動障害と診断され,レム睡眠中に発生する(第3章参照).睡眠の記録と睡眠覚醒 眠っている患者の(携帯型システムによる自宅での,あるいは睡眠検査室での)ポリソムグラフィー記録を用いて睡眠段階をスコア化することは,睡眠の質を評価するうえで重要な要素である.患者が睡眠の質が低いと訴える場合,頻繁な覚醒,睡眠段階の頻繁な移行(深い睡眠から浅い睡眠段階への急激な移行),呼吸障害そして筋緊張などがみられる.体動はともなう場合もともなわない場合もある.これらの睡眠断片化の徴候は,睡眠の連続性を妨げ,睡眠構造を変化させる. 睡眠記録によって睡眠を評価する場合,睡眠効率も重要な要素である.睡眠障害の標準的な指数である睡眠効率は,ベッドに入っている時間に対して実際に眠っている時間の割合を指し,百分率図1-3 ノンレム睡眠とレム睡眠(黒い横長のボックス)の睡眠周期(Ⅰ〜Ⅳ)の連続波形.睡眠中の最初の3分の1までの間はゆっくりした波形(睡眠段階3,4)に支配され,後半の3分の1の時間ではレム睡眠がより長くなる.MT:体動時,WT:覚醒時(Lavigneら16の許可を得て改変).MTWTREM123400:0001:0002:0003:0004:0005:0006:0007:0008:00時間ごとの睡眠サイクル(時)睡眠段階睡眠–覚醒サイクル

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