歯科医師のための睡眠医学
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65X線透視検査 X線透視検査はOSA患者の上気道の閉塞の動態と閉塞した部位の評価に用いられてきた.睡眠時X線透視検査(X線透視検査を患者が睡眠中に行う)では上気道の閉塞が口蓋後部で起きることがほとんどのOSA患者で観察された.X線透視検査は覚醒状態と睡眠状態の上気道の動的評価が可能だが,被曝線量が多く,上気道軟組織構造が重なり,鎮静法による入眠が必要なためルーチンの検査には不向きである6.光干渉断層撮影法 光干渉断層撮影法はもう1つの方法で,上気道リアルタイム画像であり,定量性をもたらすために利用することができる.この技術では直径3mmの光端子を経鼻的に挿入する.この端子を回転させることで周囲360°の組織を描出し,上気道に沿って体軸方向に動かすことで多数の部位を走査できる.これと似た技術がこれまでにも顕微組織解剖学や眼科,皮膚科,循環器内科(vascular medicine),消化器科,泌尿器科といったほかの研究分野で実験されてきた. さまざまな状況下で連続して気道容積の変化を測定する能力に加えて,そのほかの利点として光干渉断層撮影法は患者の苦痛がなく,睡眠の質や様式への影響が最小限であり,被曝がない.この方法の限界としては,上気道の完全な外形をすべての方向からすべての構造物についてみることができるわけではない点,患者の呼吸が早い場合には気道の直径の変化をみられない点である7.また,この方法は気道腔を調べるための画像検査法であり,直接は隣接していない頭蓋顔面あるいは軟組織の構造を評価することはできない.経鼻内視鏡検査 経鼻内視鏡検査は利用しやすく安価な方法で,患者の鼻腔,中咽頭,声帯をさまざまな体位において,また起床時や睡眠時(自然な睡眠か鎮静下の睡眠)の状態を評価する方法である.鼻腔に麻酔が必要で侵襲的だが,経鼻内視鏡検査は放射線被曝がない. この方法は数多くの研究に用いられており,気道狭窄した部分やOSAを有する患者の状態依存性の気道の変化,下顎前方保持装置の影響,減量,気道直径に対する喉頭蓋・口蓋咽頭形成術(Uvulopalatopharyngoplasty:UPPP)の評価が行われている.経鼻内視鏡検査は上気道腔のみが検査できるが,周囲の軟組織構造の計測はできない.経鼻内視鏡とミュラー手技(無呼吸時に起こるとされる上気道の狭窄を模擬的に生じさせると考えられている)との組み合わせで,上気道狭窄の生じる可能性がある部位について重要な情報を示すとされてきた8,9. いくつかの研究によればミュラー手技の最中に舌根後気道狭窄が認められた大部分の患者はUPPPの理想的な適応ではなく,そのような患者に対しては,そのほかの外科的手技(オトガイ移動術や上下顎前方移動術)が検討されるべきであるとされている.ミュラー手技の間に口蓋後方の狭窄を認める患者の大部分は,UPPPが外科処置の第1選択とされるべきである10.しかしながら経鼻内視鏡とミュラー手技の組み合わせを用いてUPPPを選択した患者に対する外科処置成功率の改善に対する有効なデータは示されていない.それにもかかわらず,最近の研究では睡眠時内視鏡検査が狭窄部の同定や外科処置11やオーラルアプライアンスの指針を示す道具として期待ができるかもしれない(第10章参照).経鼻内視鏡検査

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