歯科医師のための睡眠医学
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79も寛解したものを完全治療奏功とすると,軽症から中等症のOSA患者での治療奏功率は19%〜75%であったと報告されている.治療奏功の基準を緩和する,つまりAHIを10回/時以下と定義することにより,さらに高い奏功率が得られる5〜8(表10-1参照).MRA治療中に持続的ないびきおよび日中傾眠を感じる患者には効果が少ないようである. TRDによる有益な臨床効果は未だ出ておらず,MRAに比較して適応を選ぶ.持続陽圧呼吸療法(Contuinuous positive airway pressure:CPAP)は,とりわけ重症の患者においてはオーラルアプライアンスよりも効果的に睡眠関連呼吸障害を減少させる5,7,9~11.しかしCPAPとMRAの両方が有効である場合10,患者はたいていMRAを希望する.MRAとCPAPの比較は表10-2を参照されたい. OSAに関連した健康リスクを減少させることが治療の重要目標の1つである(第6章参照).最近の研究でMRAの血圧降下作用はCPAPの血圧降下作用と同等であると実証されている12.同様に,いくつかの研究でMRAの使用によりQOLの改善および精神運動速度といった神経認知能力の向上が実証されている13.副作用 MRAの副作用では唾液分泌過剰,口渇,歯や頭蓋下顎系の圧痛,起床時の咬合異和感などの一臨床評価AHI or RDI*AHI < 10AHI < 5研究者標本数MRACPAPControlMRACPAPMRACPAPFergusonほか 102025[15]14[15]†24[17]4.0[2.2]†§55%70%Englemanほか 94831[26]15[16]31[26]8.0[6.0]§47%66%19%34%Gotsopoulosほか 67327(2)12(2)†‡27(2)25(2)36%Barnesほか 58021(1.3)14(1.1)†‡21(1.3)4.8(0.5)†§21(1.3)20(1.1)49%Lamほか 1110121(1.7)11(1.7)†‡24(1.9)2.8(1.1)†§19(1.9)21(2.5)(RDI)呼吸障害指数*結果は平均値,( )は標準誤差,[ ]は標準偏差,上段は術前介入,下段は術後介入†無治療と比較して,治療によりAHIまたはRDIが低下.‡コントロールと比較して,MRAでAHIまたはRDIが低下. §MRA装着と比較して,CPAPでAHIまたはRDIが低下.表10-1無作為抽出研究でのMRAの効果

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